経済状況が異例であるからこそ、政策も異例になる--白川総裁会見一問一答【日銀が追加緩和決定(3)】

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


--昨年12月の固定金利オペの導入時に「広い意味での量的緩和」という表現をされた。今回の基金創設で、そういった政策が強化されたと考られるのか。

一方で量的緩和という表現もあり、FRBでは信用緩和とも表現している。私自身は今回の政策を包括的な金融緩和政策としている。信用緩和、量的緩和で整理すると、多様な金融資産を買い入れ対象としたのは、信用プレミアムや流動性プレミアムの縮小を促すことを狙いとしており、この点で信用緩和という側面を持つ。量という面では、資産買い入れ等の基金を有効に活用して潤沢な資金供給を行う。
 
 日本銀行は金融緩和のフロントランナーだった。既存の言葉ではなく、「包括緩和」という言葉を個人的には使っていきたいと思っている。

--金融危機でCPや社債の市場機能が壊れたが、今はそれが解消されている。今回のリスクプレミアム縮小はどういう意味を持たせるのか。

リスクプレミアムの状況は金融市場によって異なり、一律に同じような評価はできない。リーマンショック後の状況は、そもそも市場で取引や発行ができず市場機能が大きく痛んでいた。現在、リスクプレミアムが大きすぎると必ずしも判断しているわけではなく、今よりもリスクプレミアムの水準を今よりも下げていく形で、金融緩和の効果を追求していこうとしている。

--異例の措置ということだが、現在の経済情勢の認識は。

政策だけが異例なのではなく、経済の状況が異例であるからこそ政策も異例になる。
 
 リスクプレミアムの世界に入れば、最終的に中央銀行の買い入れた資産が場合によって損失を計上する可能性もある。損失が発生すれば国庫に対する納付金が減る形で国民にも影響する。しかし、金融緩和政策でさらに効果を追求しようとすれば、そういう世界に入っていかざるを得ない。
 
 どこまでを中央銀行の政策として行うことが適切なのかという問題意識と、一方で中央銀行が迅速に政策展開ができるという長所もある。両方のバランスを考えながら適切な政策運営を心がけることが大事だと思っている。
(井下 健悟 =東洋経済オンライン)

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事