経済状況が異例であるからこそ、政策も異例になる--白川総裁会見一問一答【日銀が追加緩和決定(3)】
今回は、包括的な金融緩和政策の一環として導入した異例の措置。その趣旨を明確にするため、バランスシート上も新たに創設する基金で分別管理する。買い入れ対象となる国債も残存期間が2年以下のものに限定し、今後、長期国債と国債短期証券を合計した具体的な買い入れ金額を定める。
目的や保有形態が既存の買い入れとは大きく異なっており、銀行券ルールを今回の措置に拡張して適用する必要はないと判断した。
--基金創設の検討で国債を対象とすることに須田委員が反対した内容は。
現在の国債市場の状況を踏まえると、第1に本措置で国債を買い入れると債券市場の過熱やバブルに繋がるリスクが高いこと、第2に財政再建への中長期的な道筋が不明確な中、本措置の対象である長期国債を銀行券ルールの対象外とすることは、市場で財政ファイナンスを目的とするものとの誤解を生みかねず、かえって長めの市場金利に悪影響を及ぼす懸念があることなどの理由から反対をされた。詳しい内容は議事要旨でご参照頂きたい。
--基金創設の目的について、もう少し詳しく説明してほしい。
リスクフリー(国債)の金利は相当低く、特に短期の金利がかなり低い。こうした中で金融緩和効果を上げようとすると、論理的に残されている道は従来から長めの方向に行くか、民間のリスクプレミアムに働きかけることになる。
そこへ踏み出す場合、日本銀行が買い入れる以上はいくつかの要素を勘案する必要がある。例えば価格の透明性、市場の規模がないと対象にならない。また、中央銀行として取れるリスク量も要素としてあり、総合的に勘案して今回の金融商品が適切だということになった。
--資産買い入れの実施時期はいつ頃になるのか。また、11月に米FRBの追加緩和観測があるが、その後の対応としての手段になるのか。
今日発表した中でETFやREITの買い入れは財務省の認可が条件であり、金融資産ごとに準備期間のバラツキが出てくる。準備の整ったものから順次、買い入れを実施していく。ある特定の国の金融政策にリンクして政策を運営していくものではない。