経済状況が異例であるからこそ、政策も異例になる--白川総裁会見一問一答【日銀が追加緩和決定(3)】
--今回の追加緩和の狙いは。ゼロ金利政策をとった前回との経済環境の違いは。
これまでも実質ゼロ金利政策をやっているとたびたび申し上げてきた。
今回の金利誘導目標の変更は、実質ゼロ金利政策を採用していることをより明確にするもの。日本銀行が潤沢な資金供給を行った結果、無担保コールレートオーバーナイト物が誘導水準の0.1%をいくぶん下回ることが起きている。
今後、資産買い入れ等の基金を通じていっそう潤沢な資金供給を行うと、日によってはこれが大きく下回る可能性が高まることも予想される。資産買い入れ等を通じて、長めの市場金利の低下やリスクプレミアムの縮小を図る目的を達成するためには、オーバーナイト金利の一時的な振れを明示的に許容するほうが効果的だと判断した。
--追加緩和を決めた8月の臨時会合と何が変わったのか。
経済、物価情勢は毎回の会合で点検している。その間に出てくるさまざまな経済データを累積的に検証し、今回の判断に至った。
1つ1つの金融緩和政策の効果自体を検討すると、限界的な効果は大きくないということはあるかもしれない。われわれとしては、政策をパッケージとして打ち出すことで、効果を最大限引き出していきたい。
--新設する基金の買い入れ対象に長期国債が入っているが、銀行券ルールとの兼ね合いは。
日本銀行の場合、長期国債の買い入れを資金供給の主力の手段のひとつとして大いに活用しており、最大の資産項目となっている。現在、実施している買い入れは銀行券需要の趨勢的な増加に対応した安定的な資金供給が目的で、長期的な保有を想定している。このため、長期国債の保有残高は銀行券の発行残高を上限とする運営を行っている。
一方、基金による長期国債の買い入れは、短期金利の追加的な引き下げ余地が限られている現在の情勢を踏まえ、長めの市場金利の低下を促すことを目的として実施するもの。従来の長期国債のオペとは明らかに異なる。