小渕優子氏は、「法的責任」を問われる? 「ボーダーライン」はどこにあるのか
収支報告書に記載する義務は「誰」にあるのか?
「まず、小渕氏が会見で認めた事実関係の範囲内でどういう問題があるかを見ましょう」
このように、秋山弁護士は切り出した。
会計責任者は「公民権停止」の可能性も
「政治団体の収支報告書に、本来記載すべき収入や支出を記載しなかったという場合、収支報告書の記載義務違反(政治資金規正法25条1項2号、同法12条)が問題になります。
収支報告書を提出する義務を、直接的に負っているのは、その政治団体の『会計責任者』です。したがって、記載義務違反について、直接の責任を問われるのは、会計責任者となります。
記載義務違反の罰則は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金もしくはその両方です。故意に限らず、重過失でも処罰の対象となります。さらに、公民権も一定期間停止されます(同法25条1項2号、27条、28条)」
さらに、政治団体の「代表者」も責任を問われることがあるという。
「政治団体の代表者についても、会計責任者の選任・監督について相当の注意を怠ったとされると、罰則(50万円以下の罰金、同法25条2項)の適用があります。そして、罰金に処せられると、一定期間の公民権停止の制裁があります(同法28条1項)。
『選任・監督についての相当の注意』というのは抽象的ですが、会計責任者を選任する際、その人柄や能力の調査を怠らなかったか、選任後は通常期待される程度の業務の監督を怠らなかったかが問題となります」
公民権が停止されるということは、選挙権や被選挙権が停止されるということだ。そして、国会議員は、被選挙権を失うと失職する。小渕氏がそういう事態に追い込まれる可能性はあるのだろうか?
「今回観劇会を実施していた後援会(政治団体)については、小渕氏は『会計責任者』や『代表者』ではありませんので、記載義務違反について、直接的な法的責任を問われる立場ではありません」