人生なんて、案外簡単にパッと開けるものである くだらなすぎる「私の人生の目標コレクション」

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でも足の小指となれば、何しろ何十年も無関心でいたので暴走をしようにもアイデアがない。小指、ちゃんと動くかな、地面についているかな……くらいでだいたい話が終わる。で、そのような小さなことを積み重ねていくしかないのだというシンプルな結論で心がたちまち平らかになるのである。

もうほとんど瞑想の世界ですな。

で、苦節6年、このようなことを地道に積み重ねた結果、わが小指がどうなったかというと、ようやく消滅していた「爪」が姿を現し、そしてなんと、指本体もちょっとずつ「伸びて」きているのだ! 

普段はまだまだダンゴムシ状ではあるが、風呂に入ってぎゅううと手を使って伸ばしてやると、以前はビクともしなかったものが、少しずつ「まっすぐ」になり、ずっと影も形もなかった足指の関節のシワも少しずつ出現してきているのである!

いやーこの調子でいけば10年後には、のびのびとした赤ちゃんの指のような小指が戻ってくるのかも? という遠大な計画を見据えて本日も行き詰まったら小指のことを考えて瞑想に浸る日々。まさに良き人生の目標を選んだとほくそえまずにはいられない。

で、これに味をしめた私が最近新たな目標に加えたのがこれである。

わが人生の目標その3 額のシワを消滅させる

ま、これは読んで字のごとく。これまた解説し始めるとキリがないのでやめておくが、これもなかなかに遠大な目標であり、というか足の指以上に「どこをどうしていいのかわからない」困難なチャレンジである。

何しろ、足の小指の場合は「小指を意識する」だけでよかったが、額のシワに関しては、ただ額を意識するだけでは逆に力が入ってシワが深くなってしまうのだ。となれば、額だけではない体全体、あるいは自意識の大改革が必要になってくると思われる。

というわけでただいま、半世紀以上にわたって身についた思考のクセを一から見直しているところであります(ちなみに今のところまったく成果なし)。

ってことで、あれこれくだらないことを熱心に書き連ねてまいりました。ここまでお付き合いいただいた方には心から御礼を申し上げる次第であります。

いずれにせよ、人生至る所青山あり、即ち人生を輝かせる「生きる目標」など、どこでどのように生きていようがありとあらゆるところにありまくるのだということが少しでもご理解いただければ幸いである。

実際、このようなことにウツツを抜かしていると、金の心配をすることなどもついつい忘れてしまいますよ。それだけでも、この「くだらない目標設定」はマジでオススメである。

稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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