……あ、すっかり前置きが長くなった。
っていうか、実を言えば、いざ書こうとすると、そのあまりのクダラナさにわれながらちょっと躊躇しておるわけです。だがここまで引っ張ったらもう引き返すわけにもいかぬ。ってことで、観念して書かせていただきます。
わが人生の目標その1 近所の激坂を自転車で登りきる
これは前回書いた、インドの豪華リゾートで「人生の目標はなんだっていい」と気づいて帰国した直後に、初めて思い定めた記念すべき「好き勝手な人生の目標(国産)」第1号である。
なぜこれを思いついたかというと、これはもう単純に、近所にわがママチャリではどうしても登りきれない急坂があったからだ。もうちょっと具体的に言うと、会社を辞めたら自転車で行動できる範囲で生きていこうと決めたものの、毎朝カフェに出勤して原稿を書こうと思えば絶対に登らなきゃならならん急坂があり、これがどうしても最後まで登りきれなくて……ということを繰り返すうちに心にキッと思い定めたものである。
なぜあなたは山に登るのか?
それは、そこに山があるから。
……みたいな話ですね(大きく出てみました)。
でもこれは案外冗談でもなんでもなく、両者は確かに共通する話であって、そこに困難さえあれば、インドにいようが日本にいようがいとも簡単に目標は定まるのである。うん。そう気づいたときはなんかうれしかったね。だって生きる目標さえあれば人生は充実するんだとすればですよ、この困難ばかりの時代はまさに希望の宝庫ではないか!
え? いやいやそんなもの、ただの「目標」じゃん、「人生の目標」なんていくらなんでも大げさな……ですと?
ま、シロートはそう思いますよね。っていうか私も最初はそう思わなかったわけじゃないんだが、よく考えると案外そうと決めつけたものでもないんである。
何しろこの坂、上がれば上がるほど勾配がきつくなるというなかなかの地味な難所。しかも私、自転車の「立ちこぎ」が大の苦手で、っていうかこの歳になるまでほとんど立ちこぎをしたことがなかった。
でもこの坂を登りきるには絶対に立ちこぎが必要で、しかも道幅が狭いので、どれほど勾配がきつくなってスピードが落ちようが、そして一番苦しくなったところで向こうからデカイ高級車が道一杯を占領して迫って来ようが、そのような恐怖に心を乱されることなく、常に平常心、そして安定したフォームでしっかりと立ちこぎをし続けなければ、たちまち接触事故を起こしかねないのであります。
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