8代目ゴルフのディーゼルに乗って悟った超進化 技術磨き上げ、とことん心地よい「完全な黒子」に

✎ 1〜 ✎ 81 ✎ 82 ✎ 83 ✎ 最新
拡大
縮小
高速道路ではこの燃費数値(筆者撮影)

さらに、「アイドリング時はディーゼル特有の甲高い燃焼音が若干気になる」としていた従来型に対して、新型は甲高い燃焼音が少ない。加えて8代目となってゴルフは遮音性が大幅に高められたことから車内への透過音も少なく、これも上質な走行性能に一役買っている。

8代目ゴルフは登場当初、評価が分かれた。ドイツらしい割り切りがなされたと質実剛健な側面を支持する声がある一方で、圧倒的な質感と完成度を誇っていた7代目に対して、大きく質感が下がったと言われた。

一方、インテリアではクリーンで広々とした視界のデザインが好意的に採り上げられ、静電スイッチと物理スイッチを効果的に組み合わせるなど新しい取り組みが行われたHMI(Human Machine Interface/人と機械の接点)も注目された。

筆者もこの新しいHMIを高く評価するが、静電タッチで行うエアコンの操作部にも夜間照明があればさらによかったと思う。夜間の試乗中、位置がわからず、わざわざディスプレイにエアコンパネルを表示させて操作することが度々あったからだ。

フォルクスワーゲンでは、手を掲げただけで反応するジェスチャーコントロール機能をすでに実用化していることから、それを応用し、手を伸ばした時だけスイッチ部分に照明がともるとずいぶん使い勝手が良くなると感じた。

内燃機関をモーターのようなトルク特性に近づけた

パワートレーンにも新しい考え方が導入された。ガソリン、ディーゼルともに黒子に徹し、内燃機関のトルク特性を電動モーターの体感値に近づけた、こう筆者は解釈した。これはフォルクスワーゲンのBEV(電気自動車)である「ID.シリーズ」に対する予行演習にもつながるだろう。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

もっとも、マジメ路線だけではつまらない。よってフォルクスワーゲンでは8代目ゴルフにもスポーツモデルである「GTI」(466万円)をラインアップした。直列4気筒2.0Lガソリンターボは245PS/370N・mを発揮する。駆動方式は前輪駆動だ。

新たなトルク特性となった2つのガソリンモデル、どこからでも反応する2.0Lディーゼル、そしてスポーツモデルのGTI。さらにステーションワゴンボディをもラインアップするゴルフ。見た目やカタログの数値以上に個性がとても強かった。その上で、ゴルフにもっともふさわしいパワートレーンは今回試乗したTDI。これが筆者の出した結論だ。

筆者No1に推すTDI(筆者撮影)
西村 直人 交通コメンテーター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT