日本女子バスケが大事にした「声出し」の大きな力 複数の人間が関わるチームにおいて重要なこと
もちろん私も赤穂ひまわりやオコエ桃仁花など若い選手を女子日本代表に招集してきました。ポテンシャルの高い彼女たちが、女子日本代表でさらに高い経験を積めば、もっと成長すると考えたからです。しかしそれ以上に彼女たちが女子日本代表に必要な存在だと信じたから、彼女たちを招集したのです。
見ることが大切と言いながら、私自身が選手のリアクションを見誤ることもあります。東京2020オリンピックの前に、馬瓜エブリンをすごく注意したことがあります。そのときエブリンがヘッドダウンをしたように見えたので、翌日すぐにエブリンと話をしました。
すると彼女は「トム、私はヘッドダウンなんてしていませんよ」と言いました。私が「そう? でも僕にはそういうリアクションに見えたよ」と言うと、「いや、そういうつもりはありません。私はここでプレーしたいし、もっとうまくなりたいと思っています」。
もうひとつフォローアップしてわかることもある
注意して、リアクションを見て、それで終わりでもいけません。もうひとつフォローアップまでする。そうしてわかることもあるのです。
選手や生徒、部下などを導く人は過信してはいけません。私のように間違えることがあります。だからコミュニケーションは一方通行ではなく、納得するまで双方向でおこない、間違いがないかをチェックすべきなのです。それがよりよいリレーションシップを築くことにもなります。
声を出さないことで、判断を間違えることも。
女子日本代表は非常にコミュニケーションの取れたチームでした。選手たちにそれぞれ役割があるように、コーチングスタッフにも役割があります。私のことをオフェンスとディフェンスの両面からサポートし、選手個々のスキルアップもサポートするアシスタントコーチや、彼女たちのフィジカル強化を担当するスポーツパフォーマンスコーチ、選手たちの体をケアするアスレティックトレーナーなどです。
練習の前には彼らとミーティングをして、選手のコンディションなどを確認します。そうしたコミュニケーションは練習を円滑に進めるためには欠かせないものです。
また選手同士のコミュニケーションもしっかり取れていました。メンバー構成からポジションの変更を余儀なくされた宮澤夕貴が、新しいポジションでの動きを改めて覚えなければならなくなったとき、髙田真希や長岡萌映子が彼女にそれを教えていたのです。そうしたコミュニケーションはいいなと思います。
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