日本株は、ここからどこまで反発するか 市場大荒れでも、元気だった「炭鉱のカナリア」

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市場で「炭鉱のカナリア」とされる指標はさまざまだが、代表的なものは国際商品市況の下落と小型株の相対的な軟調展開だ。

原油市況の下落は「炭鉱のカナリア」指標でなかった?

国際商品市況の中では、原油先物価格の下落が目立つ。WTI先物は、一時1バレル当たり80ドルを小幅割り込んだ。

近年は、リーマンショック時を除けば、80ドル割れは2011年9月と2012年6月しかなく、ともにイタリア・スペインといった南欧諸国の財政懸念が取りざたされていた時期だ。この原油価格の下落をもって、「原油市況は炭鉱のカナリアとして、世界経済の悪化を早期に指し示しているのだ」と語る悲観論者が横行し、投資家心理にも影を落とした。

しかし、最近のサウジアラビアによる、シェア拡大を狙った安値での輸出攻勢が、原油価格の押し下げに働いている面が大きいと推察され、原油だけで国際商品全般を語るのは当たっていない。そこで金先物や銅先物の推移をみると、昨年春以降はおおむねボックス圏内で、過去と比べれば小動きが続いており、大きく下げているという感じはしない。

また、小型株の動きが市場全体と比べてどうかをみるため、新興市場指数、すなわち東証マザーズ指数(をTOPIXで割った比率)とナスダック指数(をS&P500指数で割った比率)をみると、確かに足元は低下気味で推移している。

大型株、すなわち大企業は業績が安定しており、景気悪化でも業績はそれほど急変しにくい。それに対して小型株、新興企業などは、景気の浮沈で業績が振れやすい。また日頃は、小型株は将来への成長期待で株が買い上げられることが多い。

したがって、景気悪化時は、実際の業績の下振れだけではなく、将来への期待がしぼむことも加わって、株価は二重の理由で下げを大きくする。このため、「小型株が市場全体以上に下落しているのは、「炭鉱のカナリア」として、世界経済の悪化を示唆しているのだ」と、やはり悲観筋が騒いでいた。

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