日本株は、ここからどこまで反発するか 市場大荒れでも、元気だった「炭鉱のカナリア」

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ところが、前述の日米の新興市場株価指数の比率をみると、両国とも、今年5月の水準の方がよほど低い。すなわち、足元の小型株、新興市場の株価調整は、市場全体と比べて、限定的な範囲にとどまっている。

カナリアは「堅調な経済実態」という歌をさえずっているようだ。

このように、カナリアは炭鉱で、世界景気後退という空気の悪化をいち早く感じて、大いに弱り始めている、と言うより、「堅調な経済実態」という歌を正しくさえずっているようだ。

日経平均は外部環境の落ち着きを受け、底入れへ 

米QE3(量的緩和第3弾)終了だの、来年の利上げだのを騒ぎたがる筋も多いが、QE3が10月で終了する、ということは以前からわかり切っていたことであり、来年半ばとも見込まれる利上げを今から懸念するのも早すぎるだろう。

日経平均株価は、投資家心理が傷ついたことから、目先は神経質な動きが残る展開は否定できない。

しかし、米国株価の底入れ上昇や為替相場の安定など、外部環境の落ち着きを受けて、今週以降は、上値をうかがう動きを次第に強めるだろう。日経平均株価の予想レンジは下値が1万4700円程度、上値は1万5500円程度と予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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