本連載が始まってから、筆者は、日本の株式市場について、一貫して強気だった。金融環境と相場の循環パターンを考えると、現状は、バブルに向かうブームのせいぜい中盤であり、この環境はしばらく続くというのが、大袈裟にいうと大局観だった。
加えて、アベノミクスの金融緩和政策に対しては総じて好意的で、「2年で、物価上昇率2%」が必ず達成出来るかどうかはともかく、インフレ方向に動くと考えていたし、現状でも、追加緩和でさらに円安と株高にすることが可能だろうとも考えている。
経済時計の針は、バブル頂点前の10時30分?
時計の針先が指す「高さ」を資産価格の高さとして、12時が「バブル」のピーク、6時が株価の「ボトム」といった循環パターンで考えると、日本は10時半くらい、米国は11時を過ぎたところ、ヨーロッパが7時半で、中国が2時だと考えている(違うかも知れないが)。この場合、外国の効果は、米国の好調のプラス効果が、低調な欧州と、不動産等の雲行きの怪しい中国のマイナスを十分相殺し、「日本は10時半なので、株と不動産はまだ買い」だという見立てだ。
さらに、インフレ目標の意味を「インフレ率が2%になるまで金融緩和を止められない」ということだと解釈した場合、ブラックマンデー後の世界経済の需要牽引のために金融緩和(と内需拡大)が止められなかった1988年辺りの環境に近い、との仮説もまだ捨ててはいない。
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