なぜGPIF改革は、成長戦略ではないのか 株価が上がっても、日本経済の問題は解決しない

✎ 1〜 ✎ 41 ✎ 42 ✎ 43 ✎ 最新
拡大
縮小
新成長戦略を発表する安倍首相。GPIF改革は、成長戦略ではない(AP/アフロ)

アベノミクスのすべてを否定するわけではないが、「リフレ政策」以上に明らかに間違っているのはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革だ。これは、拙著「GPIF 世界最大の機関投資家」(東洋経済新報社)でも議論しているが、ここでは別の観点から、経済成長と株式市場の関係について考えてみたい。

需要超過に転じた日本経済

なぜ経済は成長するのか。それは、需要が増えるからではなく、生産能力が上がるからだ。ただし、売れないものを生産すると、いわゆるデフレギャップというものが生まれてしまう。これが、成長という側から見た、不況の理由だ。それを需要不足の問題だと初めて捉えたのがケインズだ。

現在の景気に対する論点の一つは今後インフレ率がどうなるかという点にあるが、例えば日銀の黒田総裁は強い自信を持って、インフレ率2%を達成できると思っている。株式投資家やその関係者は、日銀による追加緩和を期待しているが、黒田総裁はその必要性は感じていない。

なぜなら、日本経済は生産力の限界に達し、これ以上生産を増やせないにもかかわらず、需要がそれを上回っているからだ。この結果、円安によるコストプッシュ型のインフレから需要超過によるディマンドプル型のインフレに移行しつつあると黒田氏は思っている。

次ページ日本経済の本当の問題とは?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT