7月23日、日本銀行の中曽副総裁が講演後の記者会見で出口戦略について述べたことが話題になっている。いつもどおり、一部のメディアは、日銀だけが過去において量的緩和からの出口を経験している、と述べたことの揚げ足を取り、徹底的に非難しているが、もちろん、記者会見全文を読めば、中曽氏は、「過去の経験があるから大丈夫」とか、「自信がある」と言ったわけではないし、そういう意図もない。メディアの記事は、意図的なミスリードがこのように多くあるので、常に、記者会見は全文かやり取りの映像をすべて通して見るようにしないといけない。
出口戦略は、戦略ではない
しかし、もしかしたら、ミスリードする気のない善良なメディアも、また見識のあるエコノミストも誤解していることが多いかもしれない。とりわけ、日銀の出口戦略については、それが当てはまる可能性がある。
人々の誤解を生み出しているのは、出口戦略という言葉にある。出口戦略は戦略ではないのだ。
もちろん、広報という意味では戦略が必要であるし、金融市場、投資家の受け止め方がすべてであるから、投資家との対話は、戦略的に行なうべきであり、それは極めて重要だ。
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