金融とは何か。いまさらではあるが、私が「夏休み」でこのコラムを休んでいる間に、この根源を問わざるを得なくなる「事件」が3つ起きた。
「超退屈」だった、イエレン議長のスピーチ
1つは、米国FRB議長イエレンの、ジャクソンホール(米ワイオミング州)でのスピーチ(8月21~23日)だ。
イエレンはもともと金融の専門家ではない。右か左かといわれれば左、米国的にタカ派かハト派かといえば、圧倒的にハト派であって、要は、弱者救済、労働市場の雇用最優先、失業の社会的影響を最重要視する経済学者である。
「夏の終わりのジャクソンホール」、これは世界の中央銀行関係者が夏休みに親交を深めるために行われている恒例の集まりなのであるが、近年は、ここで重要な金融政策へのメッセージが打ち出されることが多く、といっても要は、バーナンキ(FRB前議長)がそのように利用しただけなのだが、俄然、この数年で、高尚な議論に興味のない投資関係者の注目を集めるようになった。
さて、このジャクソンホール会合における今年のテーマは、労働市場ということだった。これは金融が苦手のイエレンには絶好のお題で本領発揮ということだったが、スピーチの原稿を読む限り、非常に退屈なものであった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら