日銀の出口戦略はどうなるのか 黒田総裁が考えている、「本当の戦略」とは?

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ただし、2%になっても借り換えと新規発行の部分だけが4倍になるので、一気に利払いが4倍になるわけではないが、10年すれば一回りするので、猶予はそれほどない。

本当の出口戦略とは、政府の財政再建

そして、このことこそが、本当の出口戦略として、日銀、中曽副総裁だけでなく、黒田総裁も考えていることではないか。量的緩和という大洪水から抜け出す道は、地面に吸い込まれて水が引くのをひたすら待つという期落ちと同時に、蛇口を閉める、雨が止むのを待つことであり、それは、新規の国債発行を減らすことである。もともとGDPの200%という多額の国債の存在こそが、洪水の原因であり、日銀のバランスシートが膨らんだこと自体にあるのではない。

したがって、黒田・中曽日銀は、政府の財政再建こそが真の出口戦略だと思っているだろう。そして、そのボールは、もはや政府の側にわたっているのである。物価が上昇し、需要不足が解消し、デフレマインド脱却が行なわれたのであるから、中央銀行の緩和制約の役割は終了したのであり、後は淡々と後処理をするだけであり、政府の側にすべてがかかっているのだ。

これが、日銀の考える出口戦略だと私は思っている。

 

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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