したがって、女性の労働力活用も、海外からの移民政策も全く誤りで、伸びない身長を無理やり伸ばそうとする戦略であり、需要も生産要素の投入も、単に食料を流し込むことと変わりなく、日本経済を質的に成長させ、アウトプットの価値を高めることにはつながらないのだ。
また、女性の活用というのは、主婦という職業からサラリーウーマンにすることではない。能力があるのに、能力を発揮できない、意欲があるのに意欲を発揮できない、という状況を変えることであり、サラリーウーマンにして、家事を賃金労働者に移行すれば、市場経済における取引は増えるが、経済全体で生まれる付加価値が増えるわけではない。
成長に必要なのは、アイディア
さて、GPIFの話であるが、全く異なるようで、本質は同じである。
GPIFは成長戦略ではない。第一に、成長戦略の成果の通信簿として株価を捉えている有識者、政治家がいるがこれはまったくの誤りだ。まず、経済が成長すれば、結果として株価は上がるが、株価が上がったからといって、経済は成長するわけではない。一時的な需要が増加すれば、つまり、株の買い手が増えれば、それで株価はあがるし、それを狙って買い手は増えるから、一時的には好循環となるが、それは経済成長とは無関係だ。
そして、株価は低いより高い方がいい、消費も株価の資産効果で増えるという議論も、株価上昇が一時的なら、その反動が来るだけで、消費税増税の駆け込み需要で景気がよくなったと喜ぶのと同じだ。
第二のGPIFが成長戦略となる可能性は、海外からの投資が増えて、これがGDPを押し上げるという議論であるが、これは、第一に、資本と労働の投入量を増やせば、経済規模は大きくなるが、それは成長ではなく、単に規模が拡大しただけだ。投資家が海外で、労働者も海外から来るのであれば、現在の日本経済社会の担い手の取り分が増えるわけではなく、端的にいえば、国民一人当たりの所得は増えない。せいぜい政治家が自分の仕切る経済規模が大きくなるので、権力が増えたと思うくらいだろう。
必要なのは、資本ではない。日本にはカネ自体は余っている。必要なのは、アイディアだ。人が海外から来て、資本が海外から投下されて、アイディアが増え、新しいモノが生み出されるようになるならば、それはプラスだ。それは、海外投資家が配当を要求して、配当性向が高まり、株主の取り分が増えて、株価が上がることとは違う。これは配分の変化に過ぎない。経営が悪く、海外投資家と交流することによって、経営が活性化し、アイディアにあふれる経営陣となり、新しいモノを生み出すように企業が変化するならば、それは投資や株主の変更により、企業が成長するということだ。
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