加藤:そういう時に「いや御社に入りたいんです」って答えるのがよくある解答なわけですが、それが「就社」。2つ目は「就職」。この人は、今の質問に対しては「営業という職業に就きたい」と答えることになるよね。
角田:つまり、営業ならどのジャンルでもいいんだね。
加藤:だから「経理に行くことになったらどうする?」と訊かれたら、「いや、行きません」みたいに答える。「営業という職業に就く」=「就・職業」という考え方だね。そして3つ目は、加藤は「就業」と言ってるんですけど、「その業界になんとなくいたい」というもの。
角田:あー、なるほど。テレビはそれが多いかもしれない。
加藤:ということで、就活・就職と言った時には3種類あると思うんですよ。質問者の方への回答として、「自分がやりたいと思っていることは、この3つのうちのどれなのか」を一度振り返ってみるだけで、結構変わるような気がするな。
大学生はもっと大人に訊いてみるべき
角田:大学生ってやっぱり「知ってる会社のほうがいい」「親も安心するから」みたいな理由で、ネームバリューやブランドで就職先を選ぶことが多いよね。「就社」が結構多いんじゃない?
加藤:まあ多いでしょうね。
角田:でも、それこそ今通ってる大学院の同級生にも言ったことがあるんだけど、結局自分のやりたいことって、行きたい会社に行ってもやれないことのほうが多いんだよね。さっき加藤君が言ってた「営業志望だけど経理」みたいなことになっちゃう。
加藤:「就社」だと、とくに大きい会社の場合はそうなる確率が上がりますよね。
角田:加藤君の言う「就業」は、つまり「この業界だったらいいや」ってことだと思うけど、例えば今「テレビ番組つくりたいな」と思ったら、意外にサイバーエージェントに入ったほうがABEMAでやれる、みたいな話もあるわけよ。だから「テレビ業界だからテレビ局に入らなきゃ」と思わなくてもいいんだよね、って話をよくしている。
加藤君の言うように、自分が「就社」「就職」「就業」のどれに焦点が合っていて、例えばもし自分が「就社」の観点で決めてるのなら、一度振り返って、自分にとっての「就業」と「就職」がなんなのかを考えてみると、やりたいことがわからない状態から抜け出せる可能性があるのかもね。
加藤:結局、学生の方はその辺りがよくわからないんじゃないかしら。良くも悪くも経験が少ないから。だから今の角田君の話も、自分だけで考えると損で、その辺の大人にそういうことをたくさん聞いたほうがいい。いわゆるOB・OG訪問の時って、やっぱり社風のことを中心に訊いてしまうでしょう?
もちろんそれは訊いていいんだけど、プラスアルファのことを訊いてみると、「番組というコンテンツを作りたいんだったらテレビ局以外の選択肢もあるかもね」みたいなことを教えてくれるんじゃないかな。