聖隷クリストファー高校は、1926年に静岡県浜松市に結成されたキリスト教系の社会事業団体を母体として、1966年に学校法人が設立され、聖隷学園高校が創設。2001年には聖隷クリストファー高校と改称している。
夏の甲子園の予選には1985年から参加。21世紀以降は8強、4強まで進出するようになった。2017年には、浜松商、掛川西を甲子園に導いた上村敏正監督が就任。昨年、秋季東海地区大会で初めて決勝に進出していた。
ただし今回の選考は、手続き上は何の瑕疵もない。
センバツ高校野球の選考基準は、このように定められている。
(1)大会開催年度高校野球大会参加者資格規定に適合したもの。
(2)日本学生野球憲章の精神に違反しないもの。
(3)校風、品位、技能とも高校野球にふさわしいもので、各都道府県高校野球連盟から推薦された候補校の中から地域的な面も加味して選出する。
(4)技能についてはその年度の新チーム結成後よりアウトオブシーズンに入るまでの試合成績ならびに実力などを勘案するが、勝敗のみにこだわらずその試合内容などを参考とする。
(5)本大会はあくまで予選をもたないことを特色する。従って秋の地区大会は一つの参考資料であって本大会の予選ではない。
今回選出された日大三島、大垣日大ともに基準(4)で選抜され、聖隷クリストファーは基準(4)(5)によってえらばれなかったと解釈することができる。
昭和の時代には珍しくなかった
過去にもこうした例があった。2003年の第75回大会では、北信越地区は、まず前年秋季地区大会で優勝した遊学館が選ばれたが、準優勝の福井商は選ばれず、8強だった福井が選抜された。
当時の選考委員はその理由として、県大会での直接対決で福井が福井商に勝利していること。エースの藤井宏海(のちロッテ)が前年秋以降の防御率0点台と安定感があることを挙げた。
さらに、昭和の時代は、秋季大会に結果に基づかない選抜はそれほど珍しくなかった。
福岡県では県立小倉高校が1953年から1978年までの間に7回選抜されているが、秋季大会の成績は1953年は4強、1965年、1968年は8強でありながら準優勝の学校を押しのけて選出されている。
小倉高校は福岡県有数の名門校であり、1947、1948年の夏の甲子園で連覇している。「文武両道の名門校」として高野連の覚えがめでたかった。連覇のときのエースだった福嶋一雄は日本野球連盟理事となり2013年には野球殿堂入りしている。
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