東京海上が先陣切る自動車保険手続きの「無人化」 将来的には保険金支払いまで「最短30分」目指す
単独の自動車事故は、人を介さずに保険金をお支払い――。
東京海上日動は2月15日から、自動車保険の保険金請求手続きに人の手を介さず、完全自動化する損保業界初のシステムを稼働させる。
自動化の対象となる事故は、車が電柱や壁にぶつかるなどの定型的な車両単独事故で、スマホやパソコンからWebで事故の報告を受け付けて、その後の保険金を支払うまでの全プロセスをシステムが自動化対応する。
これまで事故の受け付けをしてから保険金支払い手続きの完了まで2~3週間かかっていた。しかし、このシステムを使えば、数日へ大幅に短縮される。東京海上日動では「将来的には最短30分で手続きが完了できるようにシステムを高度化させたい」(損害サービス業務部の小林佑課長代理)と意気込む。
定型的な単独事故をすべて自動化
東京海上日動が1年間に受け付ける自動車事故は、約260万件にのぼり(2020年度実績)、約6000人が自動車保険の保険金支払い業務に携わっている。
これまでは、事故に遭った契約者が同社の事故受付センターなどに電話やWeb経由で報告し、その後、東京海上日動の担当者が電話で、事故の確認や今後の手続きの流れなどを案内していた。また、支払われる保険金の算出や保険金の支払手続きなどはすべて人が行っていた。
自動車事故の形態は多種多様であり、支払い保険金の確定までに複雑な示談交渉が必要なケースも少なくない。こうした事故は、損害サービス部門の担当者が当事者の間に入って事故解決まで導くのが一般的だ。
ただ、車両の単独事故の場合で支払い保険金額の確定が容易な事故も一定数ある。東京海上日動の場合、約260万件の事故総数のうち、定型的な単独事故は約37万件を占める。「このうち約8割の30万件は人を介さず、自動化対応することが可能」(小林氏)という。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら