「俺のフレンチ」も取り入れた、常勝戦略 T型フォード、ドトールも同じ戦略だった!

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いかがだろうか? 俺の株式会社の坂本社長、34年前のドトールの鳥羽社長、そして100年前のフォードは、業界の常識に挑戦し、価格破壊を起こして社会を大きく変えた。そして時代を超えて彼らに共通するのは、価格設定の方法論なのである。

一見、非常識な価格設定の方法論は、王道である

世の中で一般的な価格設定の方法は、「コスト基準型価格設定」だ。

「何を作るか?→そのためのコストを見積もる→利益を乗せる→価格を決める」という順番に考える。

コーヒー業界を題材にしたビジネス戦略については、永井氏の著書『戦略は1杯のコーヒーから学べ!』にも詳しい

多くの人が当たり前に、この方法で価格を設定している。しかし、この考え方には、「その価格が顧客にとってどういう価値があるか」という視点が欠けている。

坂本社長、鳥羽社長、フォードが行ったのは、逆の考え方だ。これは「価値基準型価格設定」と呼ばれている。

最初に顧客の価値を決めたうえで、売値を決める。そこから必要な利益を差し引き、残ったコストでどのように商品を作るかを考えるのだ。

この考え方が有効なのは、消費者が高価格を強いられている市場だ。「俺のフレンチ」は超高級フランス料理店。ドトールの場合は1杯300~400円の喫茶店。フォードの場合は富裕層の持ち物だった自動車だ。

そしてより多くの消費者にその価値を享受してもらおうと考え、まず顧客価値を先に考えて価格を決定し、その価格を実現するための方法を考え抜いて、市場の「破壊と創造」を実現したのだ。

一見斬新に見える彼らのビジネスモデルだが、実は極めてオーソドックスな方法論にのっとっている。これこそが、王道であり、われわれにとって学ぶべきところが極めて多いのだ。

(撮影:今井康一)

 

永井 孝尚 マーケティング戦略コンサルタント

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ながい たかひさ / Takahisa Nagai

慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMの戦略マーケティングマネージャー、人材育成責任者などを経て、2013年退社。同年、多摩大学大学院客員教授を担当。マーケティング戦略思考を日本に根づかせるため、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立。多くの企業・団体へ戦略策定支援を行う一方、毎年2000人以上に講演や研修を提供。2020年からはオンライン「永井経営塾」主宰。著書に60万部超『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズ、15万部超『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』シリーズ(すべてKADOKAWA)など。著書累計は100万部超。

オフィシャルサイト

X(旧Twitter) @takahisanagai

永井経営塾

 

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