ポテトピューレに最高級の分厚い牛ヒレとフォアグラをのせ、黒トリュフソースをかけた「牛ヒレとフォアグラのロッシーニ」。超高級フレンチレストランで1皿1万5000円はするであろう、一流シェフによる逸品だ。これがたったの1280円だとしたら、いかがだろうか。
最高級食材を使って、一流シェフが作るフレンチを、居酒屋並みの価格で――。それを実現したのが「俺のフレンチ」だ。店の外には平日の昼間から超格安でおいしい食事を求める客が絶えず行列を作っている。
運営する俺の株式会社は、今や「俺のイタリアン」「俺のスパニッシュ」「俺のやきとり」「俺の割烹」「俺のそば」「俺の焼肉」「俺の揚子江」(中華)、「俺のだし」(おでん)と多角化し、快進撃を続ける。
原価率100%でも、なぜ儲かる?
社長の坂本孝氏の著書『俺のイタリアン 俺のフレンチ』によると、超高級フランス料理店のフード原価率18%に対して、俺のフレンチはなんと60%を超えている。原価率90%のメニューも多い。中には冒頭で紹介したように、集客目的で原価率100%を超えるメニューもある。
原価率18%と90%の違いは圧倒的だ。超高級フランス料理店で1皿3000円するメニューが、たったの600円で食べられるということだ。
とはいえ「俺のフレンチ」は慈善事業ではない。しっかりと利益を出している。その秘密が「回転数」だ。
回転数とは1日の総来店客数を、店の総席数で割ったもの。要は1日で、店のお客さんが何回入れ替わったかという数字だ。
従来の超高級フランス料理店では、1晩で4人席に3人しか座らないこともある。これだと0.75回転だ。「俺の――」では、どの店も1日3回転以上している。そのために立ち食い形式にして、狭い場所でも多くの客が入るようにし、さらに早く入れ替わるようにしている。だから一流シェフによる超高級食材を驚くような格安の価格で提供しても、十分に利益が出るのである。
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