アメリカの高校生が学ぶ「環境経済学」の超基本 持続可能な経済成長をどのように実現するか

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環境と経済の問題について、アメリカの学校ではどのように教えているのでしょうか(写真:Kostiantyn Postumitenko/PIXTA)
21世紀に生きる私たちは、環境問題を考えないわけにはいかない。経済学者たちも同じだ。今、世界中で議論されているのは、クリーンな経済成長は本当に可能か。可能だとして、どのように達成するのか。環境問題は、SDGsの主題でもある。
経済学の先進国であり、GDP世界一のアメリカの学校では、高校生に対して環境と経済の問題をどう教えているのか。『アメリカの高校生が学んでいる経済の教室』から抜粋して紹介する。

「持続可能な経済成長」は可能か

成長を続ける経済にはコストもあり、その1つが環境に負荷を与えることだ。経済の状態を計測する数字は実質GDPだけではない。他にも、たとえば「地球幸福度指数(HPI)」という指標もある。これは物質的な豊かさだけでなく、その国の環境への優しさも計測する数字だ。ちなみにアメリカは、GDPなら世界一かもしれないが、HPIによると地球にはあまり優しくないようだ。

人口が増えると、それに伴って消費するリソースも増える。しかし、それが必ずしも環境破壊につながるわけではない。市場の力を活用すれば、環境と成長のトレードオフに直面した個人や企業のインセンティブを変化させることができる。

資源への需要が高まると、資源の価格が上昇する。そして価格の上昇は、それらの資源を使う個人と企業にとって、使用量を減らすインセンティブになる。しかしこれは、再生できない資源の場合だ。この状況をチャンスと見た起業家にとっては、再生できる資源を増産するインセンティブになる。これらのインセンティブには大きな力があり、さらに効率的だ。

再生可能資源

たとえば、木材は再生可能な資源だ。木材への需要が増えれば、木材の価格が上がる。そして価格が上がると、林業者は需要に応えて増産する。つまり、木材への需要が増えるほど、森林への需要も増えるということだ。そして森林への需要が増えると、森林が増え、緑豊かな環境が実現される。

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