「ミステリと言う勿れ」圧倒的支持の立役者は誰か 菅田将暉、原作者、演出家、プロデューサー?

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また、妻とケンカしたことに悩む池本優人(尾上松也)には、「『子どもを産んだら女性は変わる』と言いましたよね。当たり前です。ちょっと目を離したら死んでしまう生き物を育てるんです。問題なのは、あなたが一緒に変わってないことです。でもそれは強制されることではないので池本さんの好きにしたらいいと思います。したこともしなかったことも、いずれ自分に返ってくるだけですから」と語りかけました。

こちらも女性層の共感を集めるとともに、男性層に気づきを与えるなど、ネット上にはさまざまな声が飛び交っていたのです。

「犯人捜し」がメインの作品ではない

続く第2話では、「いじめられている人は逃げていい」という風潮についての言葉が、多くの人々に静かな感動を与えました。

「どうしていじめられているほうが逃げなきゃならないんでしょう。欧米の一部ではいじめてるほうを『病んでる』と判断するそうです。いじめなきゃいられないほど病んでる。だから隔離してカウンセリングを受けさせて癒やすべきだと考える」

「でも日本は逆です。いじめられている子に逃げ場を作って何とかしようとする。でも逃げると学校にもいけなくなって損ばかりすることになる。DVもそうだけど、どうして被害者側に逃げさせるんだろう。病んでたり、迷惑だったり、恥ずかしくて問題があるのは加害者のほうなのに」

「先生や親に『アイツにいじめられたよ』『アイツ病んでるかもしれないから、カウンセリング受けさせてやってよ』って、みんなが簡単に言えるようになればいいと思う」

主人公の整が放つ、人々の価値観、常識、固定観念をすり抜けてしまうような言葉の数々。その言葉は、胸に突き刺さるときもあれば、温かい気持ちになって涙腺がゆるむときもあり、理屈っぽいだけに見えて実は温かい。加えて、社会風刺も利いているため、考えさせられてしまいます。

もともと当作は、いわゆる犯人捜しやトリック当てがメインの作品ではありません。「ミステリと言う勿れ」というタイトルを見ても、原作者の意図がそこにはないことがわかるでしょう。整の言葉こそが最大の魅力であり、だから結末がわかっている原作既読の人も、あらためて楽しめるため、大きな盛り上がりを生んでいるのです。

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