「ミステリと言う勿れ」圧倒的支持の立役者は誰か 菅田将暉、原作者、演出家、プロデューサー?

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物事の本質を外さない的確さと、長ゼリフがスッと入ってくるわかりやすさ。「親のすねかじりです」と自虐しながらも、優秀なカウンセラーを思わせる魅力的なキャラクター。どちらも原作者の田村さんが立役者であることは間違いありません。

「脚色が少ない」のは原作者の功績

ここまでの2話を見る限り、省略されているところこそあるものの、大半がほぼ原作どおりであり、脚本家やプロデューサーらによる「脚色が極めて少ない作品」と言っていいでしょう。制作サイドも田村さんの原作にほれ込み、できる限り踏襲する形でドラマ化しているのです。

しかし、今回はあくまでドラマ版であり、どんなに田村さんの原作漫画が優れていても、キャストやスタッフの力が伴っていなければ、これほど多くの人々に見てもらうことはできなかったでしょう。

まずキャストで注目すべきは、当然ながら主演の菅田さん。前述したように、整のセリフは、わかりやすいうえに深く感動を誘うものである反面、聞けば聞くほどストレートな正論で、相手は「それを黙って受け止めるしかない」というところがあります。

たとえば、漫画でも映像でもなく、文章のみの台本で整のセリフを読んだら、「説教くさい」「上から目線」と感じかねない難しさがあるもの。しかし、菅田さんはそんな難しさを試行錯誤することで乗り越えて、温かいムードを感じさせることに成功しています。

一部の原作ファンが菅田さんの演じる整を見て、「イメージが違う」「おっとりとしている感じがない」などの声を上げていますが、これはあえての役作り。菅田さんは田村さんに会って直接取材をしたうえで、ファンタジーとしての漫画キャラではなく、血の通った生身の人間として演じることに挑んでいるようなのです。

すでに10巻が発売されて個人の思い入れが増した状態だけに、違和感の声が上がるのは仕方がないでしょう。ただ、視聴者全体で見れば「菅田さんだから見始めた」「菅田さんだから違いは感じたとしても納得できる」という人のほうが多い気がします。

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