「よその子よりわが子は劣る」と悩む親への逆提案 他人との比較をやめようとしても難しい

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(1) 周囲の子と「比較」して、自分の子どものよい部分を見つける

同じ比較をするのであれば、よいところを見つけてください。たとえば、「お友達は歌が上手だけど、うちの子は友達とのコミュニケーションがよくできる」「友達は外向的で積極的だけれども、うちの子は読書が好きでのめり込む力がある」などです。

これらは比較することで見つかることです。そうでないと、せっかくの長所が、単なる子どもの特徴としてしか見えず、伸ばすことができません。

これは兄弟姉妹間でも活用できます。それぞれの子どもたちを“比較”することで、その子独自のよい部分や特徴を見つけ出していきます。紙に書いて一覧表にしてみるのもいいでしょう。

つまり、比較はその子の凹んだ部分を見つけるためにするのではなく、凸の部分、突出した部分を見つけるためにしていきます。

(2) 人と比較して足りない部分があると感じたら、即補おうとするのではなく情報として受けとり、さらに調べる

例えば、友達の多くが中学受験の塾に行っているということであれば、中学受験をする子が多いという事実としての情報を受け取ります。そこですぐに塾に入れるかどうかを考えるのではなく、派生的に調べていきます。

たとえば、「何%ぐらいの子が中学受験するのか」「どのような塾に通っているのか」「どのような中学校があるのか」「中学受験はどのような勉強をするのか」「どの程度の親の負担があるのか」「中学受験する適性を自分の子どもが持っているのか」「費用がどの程度かかるのか」などです。つまり、情報を多面的に受け取ることで、総合的な判断ができます。中学受験以外にも複数の道があることがわかれば、不安感や焦燥感は減少していくはずです。

「比較」は長所を伸ばすことも

以上、「比較」についてお伝えしてきました。子育てを例に2つの提案をしてきましたが、これらは大人にも適用できると考えています。

昨今、他者との比較によって自分の価値を低めてしまうケースが大人の世界でも少なからず起こっていると思います。多様性の時代と言われながら、同質性を求めてしまう傾向があるようです。

人は、それぞれ固有の特徴を持っており、それを長所と言いますが、それをいかに見つけ、伸ばすのかということに焦点が当てられれば、世の中はもっと平和的に発展できると私は思っています。比較をしない世界を作るのではなく、「比較」によって長所を伸ばすという方法もあります。何か一つでも参考にしていただければ幸いです。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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