データに根拠を求める人が陥りやすい「罠」の正体 「顧客満足度95%」広告のあやしさを説明できる?

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数字が苦手でも、基本的な考え方を知っておくと役立ちます(写真:freeangle/PIXTA)
ビジネスにおけるデータの分析や活用がますます重視される中、ビジネスパーソンが身につけておきたい素養の1つが「統計」です。数式を使った複雑な計算をしなければならないと考えがちですが、必ずしもそんなことはありません。また基本的な考え方を知っておくだけでも、冷静な判断がしやすくなります。そんな「統計」の基礎を身につけるための短期連載第1回は、データの見方の落とし穴について解説します。

「顧客満足度95%」広告のカラクリ

「ご購入いただいたお客様の95%にご満足いただいております」といった、かなり高い顧客満足度の広告を目にしたことはないだろうか。このような広告を観たとき、どのように解釈するだろうか。

「満足度が95%だとすると、購入者のほとんどが満足しているので、とてもよい商品なのだな」と思った人は、データにだまされる可能性が高いので、注意してほしい。この顧客満足度にはカラクリが存在している。

実は「あなたが想定した購入者」と「広告で述べている購入者」は同じではない。広告の画面をよく確認してほしい。すると、「弊社の購入者アンケート結果より」といったデータの出所が小さく表記されているはずだ。

先ほどのフレーズを正確に述べるならば、「ご購入者の中で、わざわざアンケートにご記入いただき、郵便ポストに投函していただけたお客様の95%にご満足いただいております」となる。

ここで少し考えてもらいたい。商品に満足しなかった購入者は、わざわざ、その企業のためにアンケートへ協力するだろうか。よほどのクレームがない限り、アンケートには協力せず、今後商品を買わないだけだろう。

では、商品に満足している購入者はどうだろう。その商品を気に入り、継続的に購入したいので、アンケートへ協力する割合は満足していない購入者より高くなる。すると、アンケート回答者が満足している人に偏るため、結果として顧客満足度が高くなるのである。

次ページアンケートに回答した理由を考えてみると…
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