データに根拠を求める人が陥りやすい「罠」の正体 「顧客満足度95%」広告のあやしさを説明できる?

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アンケートは顧客の声であり、ビジネスでは重要である。多くの企業はアンケート結果を集めるため、協力者に抽選でプレゼントを配布したり、クーポンやポイントを還元したりする。

すると、心理的に悪い回答はしづらく、さらに顧客満足度が高くなるほうに作用する。つまり、この広告の顧客満足度は、「満足度が高い購入者に絞られた顧客満足度」の結果である可能性が高い。つまり、顧客満足度が高いのは当然の結果なのである。

このようにデータをそのまま受け入れてしまうと、少し言葉が悪いかもしれないが、データにだまされる可能性が高くなってしまう。

データにだまされないために意識すべきこと

ここからはデータにだまされないようにするために、データを読み解く際に意識すべき5つの点を紹介していく。

①データの出所が提示されているか

まずは「データの出所」を確認してほしい。当たり前だが、前述の広告の例で挙げたように、元のデータが適切でない場合、それを利用して計算された指標は実態を表さないことは容易に想像がつくと思う。

データが提示される場合、そのデータの出所を表記するのは一般的である。表記がない場合は、その時点で結果を疑ったほうが良い。

②誰が主張しているか

出所が示されていたら、次は「誰が主張しているか」を確認してもらいたい。データは何らかの主張のために用いられる。そのため、自分に都合が良いようにデータを加工して提示するケースも多々存在する。

今回の広告の場合なら、その企業が低い顧客満足度を提示することは無く、少しでも高く表示させたいと考えるだろう。なので、そのデータは当事者が収集・集計したのか、それとも、公的もしくは調査会社といった第三者が実施したものか、を確認することで、データにだまされる確率は低くなる。

③データ数は十分か

「顧客満足度が90%」と提示された場合、1000人に聞いた場合と10人に聞いた場合とでは、どちらの結果がより真実に近いだろうか。

もちろん1000人のほうになる。10人の場合は、仮に1人の回答が変わっただけで10%も数値が変化してしまうからだ。1000人だと、1人の回答が変わったとしても、影響は0.1%である。

データは適切に収集をすれば、その数が多いほど信頼性は増していく。データを表示する際は、一般的にデータの数が記載されているはずである。データの出所と同様に、記載がない場合は注意してほしい。

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