データや述べている事柄に対して、適切な集計がなされているかを考えてもらいたい。
集計方法で最も有名なのは「平均」だろう。学校でのテスト結果が返却されるとき、同時に平均点といった形で告げられるので知っている人は多いだろう。平均は「すべてのデータを足して、データ数で割る」ことで、全体の中央の値を計算する。このような計算の平均を、正式には「算術平均」と呼ぶ。
算術平均で起こりやすいミス
なじみ深い算術平均であるが、「売り上げの成長率」といったパーセントのデータで計算してしまうと問題が生じる。以下は、ある企業の6年間の売り上げ推移と成長率を表したものである。
2年目:120万円(120.0%)
3年目:180万円(150.0%)
4年目:170万円(94.4%)
5年目:220万円(129.4%)
6年目:250万円(113.6%)
この場合、算術平均で平均成長率を計算すると、毎年121.5%で成長しているということになる。
(120.0%+150.0%+94.4%+129.4%+113.6%)/5=121.5%
だが、それは正しいのだろうか。1年目の100万円から毎年121.5%ずつ成長したと考えて計算してみると、6年目の売り上げは以下のように264.8万円となり、本来の250万円から14.8万円のズレが生じる。
100万円×1.215×1.215×1.215×1.215×1.215=264.8万円
つまり、平均成長率を過大に計算してしまっているのだ。このようなパーセントのデータに対しては「幾何平均」という計算方法を使うのが正しい(エクセルで計算する場合はGEOMEAN関数を使うとすぐ算出できる)。
(120.0%×150.0%×94.4%×129.4%×113.6%)の5乗根=120.1%
幾何平均で計算した結果を用いれば、6年目の売り上げにズレはなく、平均成長率を正確に計算できていることがわかる。
100万円×1.201×1.201×1.201×1.201×1.201=249.8万円
平均成長率の集計方法の間違いはよく見かけるので、注意してほしい。
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