きっかけは先輩の無茶ぶり「新しい点字」開発の裏 20代の若き発明家「112番目のアイデア」だった
当初は無償提供を予定していたブレイルノイエのフォーマットは、利用する際に責任感を持ってもらうため、有償に切り替えた。さらに現在は、ユニバーサルデザインのコンサルタントに協力を仰ぎながら普及を進めている。
「施設に導入するときは施設ごとに設置する場所を見極める必要があって、対応がすごく難しいので、ユニバーサルデザインのコンサルタントと一緒にやっている。点字やブレイルノイエの面白さをどうやって正しく知ってもらえばいいか、日々悩んでいます」
子どもの感性や好奇心を育てるモノづくりも
そんな高橋さんは今後、子どもの感性や好奇心を育てるようなモノづくりをしていきたいという。ブレイルノイエも当初は、絵本への導入を目指していた。しかし、対象となる子どもたちの点字の識字率の低さがネックとなった。
「もともとブレイルノイエで絵本を作ろうと思ってたんですけど、小さい子どもほど点字を読める子が少ないので……。どうしようか悩んでいたときに、まずは子どもたちに『触る世界』を楽しんでもらうことを思いついて」
そうして出来上がったのが、指で遊べるカード「たっちまっちカード」。カードの表面にさまざまな凸凹模様が付いていて、視覚を使わずに触覚だけで神経衰弱ができる。高橋さんの友人で、盲ろう者の触覚デザイナー・田畑快仁さんと一緒に作った作品だ。
「たっちまっちカード」は小学館の編集者の目にとまり、小学館が発行する幼児雑誌『幼稚園』2020年3月号の付録になった。
「『たっちまっち』で触る世界を知れば、それを入り口に、子どもたちが外でも触ることを楽しめるようになる。そうやって感性が育っていくといいですよね」
活動の幅をどんどん広げている高橋さんだが、”発明の軸”はブレイルノイエを生み出した当初から変わらない。彼の中でのキーワードは「コミュニケーション」だ。自身の発明品を通してコミュニケーションが生まれ、人と人とがつながれば「それが一番嬉しい」と高橋さんは話す。
「ブレイルノイエを発明してから、コミュニケーションのきっかけや仕掛けを作ることを自分の中に”軸”として置きはじめて。今は人と人とがつながる瞬間を味わうために、発明家をやっている感じもあります。これからも遊びやゲーム、ファッション……いろんな領域に飛んでいって、自分が面白いと思うモノづくりを続けていきたいです」
見える世界と見えない世界をつないだ若き発明家の次なる作品は、いったいどんな”懸け橋”となるのだろう――。
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