メンタル崩壊から復活した30代男性が語る「教訓」 元エリート自衛官に起きたまさかの事態
はじめは、パワハラを受けている自覚はなかったという。上司は自分のためを思って厳しく言ってくれている。自分の努力が足りないだけ。頑張ればいつかわかってもらえるはずと、自責の念と儚い希望を持っていたという。
ところが、日に日にエスカレートしていく叱責。1日の業務量が多く、怒鳴られるたびに仕事は止まる。上司へ報告、連絡、相談を受けてくれるのは19時以降で、すべての案件に対して長時間の指導や人格否定が続く。その後、翌日上司が出勤するまでに、当日から翌日朝までに上がった情報収集や分析を行わなければならず、やれどもやれども終わりが見えない。
当時の残業時間は月200時間を超えた。朝5~6時には出勤して、帰宅時間は深夜1時。睡眠時間は毎日3時間程度。土日休みだったものの、仕事が終わらず土日のどちらかは出勤。もう一日はひたすら寝るか、生まれたばかりの双子の子育てで妻も孤立無援となっており、一緒に家事や育児も行う日々に追い詰められていった。
そんなわびさんがパワハラを受けていると自覚したのは、業務以外のことでも口出しされるようになった頃。上司は、妻が作ってくれた弁当にダメ出し。子どもの名前に意見する。乗っている車にさえ文句を言う。これはもう指導ではないと、はっきりと違和感を抱いた。
しかし、その時点ですでに心身ともに消耗しきっていたわびさん。もはや正常な判断を下せる状態にはなく、思考や行動にも異変が表れていた。
たとえば自動販売機で缶コーヒーを買うにも、この種類を買ったら上司に怒られるのではないか。トイレにいても、途中で上司が入ってきたら、この場所を使っていたら迷惑にならないか。次第に仕事のミスも増加。フラフラになりながら、以前お世話になった上司に相談を持ち掛けた。しかし、返ってきた言葉は「気のせいだ」。
そうして最後は、職場で叫び声を上げてデスクの下に潜り、そのまま病院に運ばれた。その時の記憶はない。その後しばらく休職となり、社会復帰するまでに1、2年の時間を費やすことになった。
パワハラに対処するコツ
わびさんは自身の経験を経て、パワハラを受ける人に、仕事ができる、できないは関係ないと語る。運悪くパワハラのターゲットになってしまった、またはメンタルダウンした場合、どのような対策をすることが大切か。わびさんの経験から整理してみる。
・何を言われても反抗しなかった
・弱音を吐かなかった。逃げることは恥だと思っていた
・自分の心のサインに気付かなかった
・正しい道にこだわりすぎていた
無料会員登録はこちら
ログインはこちら