農水相の失言を機にコメ政策の急転換を迫られた石破政権。参院選までの短期間で成果を出せるか。

5月21日、江藤拓農林水産相が辞任した。自民党佐賀県連の政治資金パーティーで「コメを買ったことがない」「支持者が送ってくれる」「家に売るほどある」と発言し、高いコメの価格に悩む国民を憤激させた。
野党も態度を硬化させ、衆議院で不信任案を提出することで、立民、維新、国民、れいわ、共産の5党が合意。与党との議席差は3であり、不信任案成立の可能性が増していた。前日、石破茂首相は続投させると述べていたが、野党の対応を受け方針を転換せざるをえなかった。江藤農水相の更迭は不可避とみるに至ったのだ。
4月以降、石破内閣の支持率は20~30%台で徐々に低下し、不支持率は50~60%で高止まりしていた。3月末の予算成立後、政権にとって支持率回復のきっかけを見失ったままでいたところ、今回の失言問題が勃発した。
高騰したコメ価格を引き下げる責任があった江藤前大臣の発言は、支持者向けとはいえ、価格高騰に苦しむ国民の心理を逆なでしたと言うしかない。野党の対応はまさに世論を背景にしたというべきだ。広く5党が合意したという点に世論の厳しい見方が浮かび上がる。
コメ5キロを3000円台に
石破首相は、江藤氏を当初留任させようとしたときに、コメ価格を大胆に下げるとまでは言わなかった。だが、江藤氏辞任後の国会での党首討論では、5キロ3000円台にまで下げると具体的な政策目標を掲げ、軌道修正を図った。
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