参院選を前に各党の減税政策が飛び交う。政策の打ち出し方が安易では、有権者の納得感は得られない。

参議院選挙を目前に控える中、そこで訴える各党の政策が報道され始めた。目立つのは、いくつかの野党が消費税減税の方向性を出し、それを拒否する石破連立与党に対抗する形で、消費税減税を争点にしようとする動きだ。
日本では、コロナ禍以降、さまざまな名目での現金給付の例が多く、またガソリンや電力などへの補助金が長期間継続するなど、給付政策がブームである。春には5万円あるいは10万円の一律給付を政策とする動きもあったが、世論の反発から尻すぼみになった。お金を配ると言えば反対する人はいないという政界の前提が崩れた。
そこで、その代わりに提案されているのが各種の減税だ。すでに「年収の壁」対策として、所得税の課税最低限については低所得者向けに160万円までの引き上げが決まっており、加えて消費税減税が俎上に載せられてきている。
物価高への不満が政治家に
背景には一般庶民の生活の苦しさがある。物価上昇に賃上げが追いつかず、実質賃金がマイナスの状況が続く。物価高で生活が苦しい現状への不満が政治家に向かっている面がある。それに何とか対処しようとしたのが、現金給付案や「手取りを増やす」政策としての減税案ということになる。
そうした政策に対しては、「選挙目当ての政策」で筋が通らないという批判がしばしばなされる。だが、選挙公約としての政策は選挙を目指して作られており、選挙目当てなのは当たり前である。そもそも民主政の中で、選挙は有権者が行動する貴重な機会であり、選挙を契機に政策を固めるのが間違っているわけではない。
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