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立民は「社会保障と税の一体改革」再構築できるか 「103万円の壁」問題で制度改革の必要性が露呈

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「103万円の壁」で露呈した社会保障・税制度改革の必要性。若年層や中堅層への支援策が欠かせない。

1月27日、衆議院本会議の代表質問に立憲民主党の野田代表(手前)が立ち、国民生活の負担軽減を迫った (写真:共同)

アメリカでは2度目のトランプ政権が発足し、早速権力の濫用、悪用が続いている。とくに2021年1月の議事堂襲撃事件で有罪とされた服役囚に恩赦を与えたことは、暴力の肯定であり、法の支配を破壊する所業だ。異国の暴君には嘆息するしかないが、アメリカ人がこの人物の人となりを知ったうえであえて彼を大統領に選んだ理由について、ここで考える必要がある。

アメリカ政治を知る識者が共通して指摘するのは、物価高で人々の生活が厳しくなる中で、米民主党が労働者向けの政策を明確に打ち出さなかったことで、かつての民主党の支持基盤が崩壊した点だ。その背景には、1990年代の民主党、ビル・クリントン政権以来のグローバル化や情報化の中で、旧来の雇用が失われ、中産階級が陥落しているという大きな変動がある。

トランプの言う「MAGA(アメリカを再び偉大に)」というスローガンは具体性を欠き、高関税が人々の生活を向上させるかどうかは疑わしいが、ともかく人々は生活の向上を願ってトランプを選んだ。同様の扇動政治家は西欧にも現れている。人々の社会的、経済的不満をデマゴーグがすくい取って権力を振るうとき、民主主義が危機に陥るという悲劇が繰り返されるのかもしれない。

時代遅れの税・社会保険制度

このことは日本にとっても対岸の火事ではない。昨年10月の衆議院選挙は、社会経済的停滞と政策的矛盾に対する、とくに若い世代の人々の不満が政治的に表現された最初の機会であった。男女の性別分業と標準家族を前提とした高度成長期の税・社会保険制度が、雇用形態や家族像の変化の中で時代遅れになっていることは、専門家が指摘してきた。制度のひずみは若い世代にシワ寄せされ、この世代の人々が確たる将来展望の下で家族を形成することが難しくなっている。

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