「他人を許せない人の脳」で起きている恐ろしい事 「30歳まで」にどんな人と出会ったかが大切

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SNSでよく目にする「許せない」という言葉。人を許せなくなる脳の仕組みとは?(写真:【IWJ】Image Works Japan/PIXTA)
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2021年もインターネットを中心とした、炎上や誹謗中傷のニュースが数多く見られました。芸能人の不倫スキャンダルや不謹慎とされる言動など、さまざまな話題がありましたが、その中でよく聞かれるのが「許せない」という言葉です。
自分や自分の身近な人が直接不利益を受けたわけではなく、当事者と関係があるわけでもないのに、強い怒りや憎しみの感情が湧き、知りもしない相手に非常に攻撃的な言葉を浴びせ、完膚なきまでにたたきのめさずにはいられなくなってしまうというのは、「許せない」が暴走してしまっている状態です。
「許せない」の暴走である正義中毒や人を許せなくなる脳の仕組みについて、脳科学者の中野信子氏が監修を務めた『まんがでわかる正義中毒 人は、なぜ他人を許せないのか?』より一部抜粋、再構成してお届けします。

「我こそは正義」と確信した途端、人は「正義中毒」になる

人の脳は、裏切り者や社会のルールから外れた人といった、わかりやすい攻撃対象を見つけ、罰することに快感を覚えるようにできています。他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質である「ドーパミン」が放出されます。この快楽にはまってしまうと簡単には抜け出せなくなってしまい、罰する対象をつねに探し求め、決して人を許せないようになるのです。

Ⓒ川井いね子/アスコム

こうした状態を、私は正義に溺れてしまった中毒状態、いわば「正義中毒」と呼ぼうと思います。この構造は、いわゆる「依存症」とほとんど同じだからです。有名人の不倫スキャンダルが報じられるたびに、「そんなことをするなんて許せない」とたたきまくり、不適切な動画が投稿されると、対象者が一般人であっても、本人やその家族の個人情報までインターネット上にさらしてしまう。企業の広告が気に入らないと、その商品とは関係のないところまで粗探しをして、あげつらう……。

「間違ったことが許せない」

「間違っている人を、徹底的に罰しなければならない」

「私は正しく相手が間違っているのだから、どんなひどい言葉をぶつけても構わない」

このような思考パターンがひとたび生じると止められなくなる状態は、恐ろしいものです。本来備わっているはずの冷静さ、自制心、思いやり、共感性などは消し飛んでしまい、普段のその人からは考えられないような、攻撃的な人格に変化してしまうからです。特に対象者が、たとえば不倫スキャンダルのような「わかりやすい失態」をさらしている場合、そして、いくら攻撃しても自分の立場が脅かされる心配がない状況などが重なれば、正義を振りかざす格好の機会となります。

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