メンタル崩壊から復活した30代男性が語る「教訓」 元エリート自衛官に起きたまさかの事態

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何を言われても反抗しなかった:上司に何を言われても反抗せず、従順すぎたと語るわびさん。パワハラをする人は、自分に自信がない、または、誰かをマウントすることによって自分の力を誇示したい。もしくはただ自分の要求を押し付けたいだけの人もいると語る。

そうした相手には、「この人は利用できないと思わせることが大切」とわびさんは振り返る。時には言い返す、または反応しない。もしくは間を開けて返事をするなど態度で示す。

弱音を吐くこと、逃げることは恥だと思っていた

パワハラ上司に反抗するのは恐怖かもしれない。しかし、耐えるばかりでボロボロになった結果、その後1年、2年とつらい思いをするよりは、はるかにダメージが少ないときっぱり言う。パワハラにまでは従う必要はない、「一線を越えてきたら撃ちますよ」の気概が大切だ。

ツイッターで支持されたわびさんのつぶやき

弱音を吐かなかった・逃げることは恥だと思っていた:当時のわびさんには、「逃げる」という選択肢がなかった。弱音を吐くのは恥。他の人も頑張っている。逃げたら終わりだと思っていた。また、自衛隊を辞めたら他に仕事はなく、踏ん張るしかないと決めつけていたとも語る。

人によっては、パワハラの証拠集めとして録音したり、転職したりとほかにも方法があったのでは?と思う人もいるだろうか。しかし、パワハラを受けて深みにはまると、思考がそこまで追い付かない。ただただ相手に怯えるばかりで、何もできなくなってしまうという。そうしてひたすら耐えて、大丈夫なふりをした結果、得たものはうつ病、不安神経症、病気休暇、賞与カット、承認遅れ、左遷。失ったものは、家族と幸せに過ごすはずだった時間だった。普通に働けるようになるまで約2年の月日が流れた。

わびさんは語る。メンタルダウン初期なら周りが助けてくれる。弱音を吐くことによって困難な状況も乗り切れる。ただし、メンタルダウンが深まっていたらただちに逃げること。そして速やかに病院を受診することを勧める。

責任のある仕事をしている中、引き際、辞め時のタイミングは迷いも生じる。ただ、出口の見える仕事に対しては一定程度やり遂げるのにある程度無理はきくが、一向に出口が見えない状況なら、速やかに撤退したほうがいいと念を押す。

自分の心のサインに気付かなかった: 振り返ればメンタルダウンのサインは出ていた。

・ごはんがおいしくない
・休日に動けない
・布団に入っているのに全然寝付けない
・嫌な記憶がグルグル巡る
・なぜか涙が出てくる
・「死ぬ」という選択肢が頭をよぎる

 

しかし、当時はそういったサインの知識は乏しかった。または、健康なときでも眠れない、食欲がないことくらいあるだろうと気にしていなかったそうだ。

これらのサインは、健康のときにこそ知っておいてほしいとわびさん。いざ深みにはまってしまうと、新たな知識や情報を調べる余裕はないだろうと言う。

つねに自分の気持ちにフォーカスすること。そしてストレスを感じたら早期回復、心の病気の予防が大切だ。

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