IRジャパンでインサイダー疑惑が再燃、株価暴落で直面する上場廃止危機 顧客離反は不可避に

「インサイダー」の汚名返上に奔走するさなか、再びインサイダー取引の疑惑が持ち上がった。
証券取引等監視委員会は5月22日、株主対応コンサルティングなどを行うアイ・アールジャパン(IRジャパン)の本社に強制調査を行った。
社員が顧客企業に関する未公表の情報を知人に伝える形でインサイダー取引に関与し、金融商品取引法に違反したとされる。東京証券取引所プライム市場に上場する親会社のIRジャパンホールディングス(HD)は同日、「調査に全面的に協力する」との声明を発表した。
IRジャパンHDにインサイダー取引疑惑が浮上したのはこれで2度目だ。1度目は2022年、当時の副社長が同社の業績見通しに関する未公表情報を知人に漏洩し、株取引を推奨した。元副社長は翌年に逮捕され、金商法違反で有罪判決を受けている。
「再犯」なら信用失墜
不祥事の代償は大きかった。企業買収やアクティビスト対応の助言を行うIRジャパンは業務の性質上、未公表の重要情報に触れる機会が多い。機密情報の管理の未熟さが露呈したことで、疑念を抱いた企業が次々と契約を見合わせた。
IRジャパンHDの売上高は、インサイダー取引発覚前の84億円から直近決算の2025年3月期には57億円にまで減少した。アクティビスト対応を手がけるライバル社のコンサル担当者は「IRジャパンの顧客が次々と他社に移ってきている」と打ち明ける。
危機感を抱いたIRジャパンHDは、インサイダー取引を防ぐ体制整備を急いだ。従業員に対して個別株の取引を禁止し、インサイダー取引に関する研修を実施。機密情報の取り扱いに関する誓約書も提出させるなど、再発防止策を徹底した。こうした取り組みから、最近では「一度離れた顧客が、やはり当社に頼みたいと言って戻ってきている」(IRジャパンHD関係者)ところだった。
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