倉本聰さん語る「北の国から」田中邦衛さんの素顔 40周年に作りたかった「さらば黒板五郎」の中身
「人間としてすごく信用の置ける人。本当に正しい人。優しい人だし、すごい家庭的で、めちゃくちゃ真面目な人。家族思いでね。『北の国』で賞を取ったときに、お祝いをしてあげようっていうんで、富良野のホテルでパーティーをやったんです。そのときに奥さんと娘さんを、こっそり呼んどいたんですよ。パーティーのときにいきなりサプライズで出したら、邦さん、照れちゃって、照れたのとうれしかったのとで、もう、こんなんなっちゃったよ。もうすごくいい心でした」
「どっちかが死ぬまでやろうなっていう約束をしてた」
シリーズ最終作となった02年の「北の国から 2002遺言」で、黒板五郎は遺言を書き残す。倉本さんは昨年10月9日、シリーズ第1作の初回放送から40年目にスペシャルを企画していたが、実現しなかった。
「邦さんとは、お互いがどっちかが死ぬまでやろうなっていう約束をしてたんです。邦さんも、僕もライフワークにしようと思ってた。だけど2002年に突然、終わりと言われた。落ち込みましたよ。
でも、その後も、今の黒板家はどうなっているかというプロットを、折に触れて書いて発表してきた。今年は、黒板五郎は実際にどういう死に方をしたかということを書きたかったんです。邦さんは死んでるから、過去の映像を使って計画したんだけどフジテレビに使わさせないって言われちゃった。純役の吉岡秀隆に富良野まで来てもらって話し合って、脚本も第7稿まで書いたんですけどね。今年40周年だったから『さらば黒板五郎』を作りたかったんだけどね」
亡くなる前10年ほど、邦衛さんは公の場に出ることはなかった。黒板五郎の死を描くことはできなかったが、邦衛さんの演じたその姿は今も、見た人の心に残っている。
(取材・構成=小谷野俊哉)
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