倉本聰さん語る「北の国から」田中邦衛さんの素顔 40周年に作りたかった「さらば黒板五郎」の中身
「北の国から」主人公に邦衛さんを選んだワケ
妻と別れて2人の子ども、純と蛍を連れて電気も水道も通らない故郷の北海道・富良野へ帰る男――。倉本さんは、「北の国から」の主人公・黒板五郎に、邦衛さんを選んだ。
「6人ばかり候補がいたんです。高倉健さんも、そうだったし。それから中村雅俊、藤竜也、西田敏行もいましたね。その中に邦さんが入ってた。この中でいちばん情けないのは誰だろうっていう話になったら、間違いなく邦さんだと。それで邦さんになっちゃった。
この主人公には僕を半分、仮託しようと思ってたから。子ども2人を故郷に連れて帰って、まいることや弱気になっちゃうこともあるだろうし、女をこさえちゃうこともあるだろう。そういう情けないことがしばしば、この男には起こるに違いないと。そのときにやっぱり健さんみたいにかっこのいい人だと、ちょっと面白くない。子どもが父親を尊敬しつつも、嫌だなこいつと。おやじ、情けないなっていうふうに思える人間というのが、ちょっと欲しくてね。それで邦さんになったんですね」
「若大将」シリーズの敵役・青大将、「網走番外地」シリーズの高倉健の舎弟、「仁義なき戦い」のヤクザ。個性的なバイプレーヤーとして確固たる地位を築いていた邦衛さんにとって、大きな挑戦となった。