(第31回)就業構造変化での日米間の顕著な差

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 労働力調査の長期データによれば、90年代からの日本で、就業構造は次のように変化した。

(1)全就業者数は、95年の6457万人から2009年の6282万人へと、ほぼ不変だった。

(2)製造業の就業者数は、95年の1456万人から09年の1073万人へと、顕著に減少した。全就業者中の比率は、95年の22・6%から09年の17・1%に低下した。

(3)サービス産業は分類の組み換えがあって長期間で比較することが難しいが、「サービス業(卸売・小売、飲食、金融・保険以外)」が95年の1566万人から02年の1804万人に増加し、「(他に分類されない)サービス業」が02年の374万人から09年の463万人に増加した。これから見ると、製造業での減少にほぼ見合う就業者増がサービス業で生じたことがわかる。なお、卸売・小売、飲食業の就業者数は、この間にほとんど変化していない。

(4)02年と09年を比較すると、医療福祉、教育・学習支援、情報通信の就業者は若干増えた。ただし、これらを合わせた増加数は168万人にすぎない。他方で、金融・保険業と学術研究、専門・技術サービス業では就業者が減少した。「金融・保険、不動産業」は95年の262万人から02年の241万人に減少し、「金融・保険業」は、02年の169万人から09年の165万人に減少している。

このように、就業構造の面から見た日本経済の問題点は、金融業に代表される高生産性サービス業で雇用を創出できなかったことなのだ。したがって、今後の成長戦略として重要なのは、この分野での雇用を増やすことだ。

内需主導経済への転換とは、GDPを構成する項目で純輸出の比率が下がることである。これは需要面の変化だが、それは結果として生じることであり、この変化をもたらすのは、産業別付加価値構造の変化だ。これは供給面の変化である。それによって、輸出産業以外の産業で就業機会が増大する。

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