(第31回)就業構造変化での日米間の顕著な差


アメリカでは生産性の高いサービス業が成長

アメリカについて雇用構造の変化を見ると、次のとおりだ。

(1)全体の雇用者数は、95年の1億1730万人から09年の1億3092万人へとかなり増加した。

(2)製造業の雇用者数は、95年の1724万人から09年の1188万人へと顕著に減少した。全雇用者中の比重は、95年の14・7%から09年の9・1%に低下した。95年において脱工業化がすでにかなり進んでいたのだが、その傾向がその後さらに進んだわけである。

(3)サービス産業の雇用者は、95年の9414万人から09年の1億1230万人へと顕著に増加した。これは、製造業での雇用者減を上回る増加である。

(4)サービス業の中でも、高生産性分野の雇用増が顕著である。すなわち、95年と09年の比較で、「金融」が683万人から776万人に、「ビジネスサービス」が1284万人から1658万人に、「教育、健康」が1329万人から1919万人に増えている。この3部門だけで、雇用者の増加は実に1057万人に上る。他方で、「その他サービス」は、457万人から536万人に増加したにすぎない。

日米を比較すると、製造業が雇用を減らして全体の中での比重を下げた点では同じなのだが、サービス産業においては大きな違いがあることがわかる。

日本で増えたのが生産性の低いサービス産業だったのに対して、アメリカで増えたのは生産性が高いサービス産業だったのだ。金融やビジネスサービスは、80年代以降に登場した先端的金融・IT技術を応用するものだ。これらのサービスは輸出も可能なので、国際収支面での貢献も大きい。

また、09年における全雇用者に対する金融業の比重は、アメリカでは5・9%だ。日本での比重が2・6%でしかないのと比べると、大きな差がある。


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