(第32回)米国の国際収支でのサービス輸出の貢献

(第32回)米国の国際収支でのサービス輸出の貢献

前回、1990年代以降のアメリカで雇用を増やしたのは、生産性の高いサービス産業であると述べた。この分野では自営業者の増加が多いので、就業者で見ればもっと増えていることになる。

アメリカ経済におけるサービス産業のウエイトの大きさは、GDP統計によっても確かめることができる。特に注目すべきは、金融業と製造業の対比だ。

51年において、GDP総額に対する製造業の比率は31・7%であり、金融業のGDPの比率は9・9%であった。つまり、製造業と金融業の比率は3対1程度であった。その後製造業の比率が低下する半面で金融業の比率が上昇し、60年代末には、両者の比率が2対1程度になった。そして、90年代の初めに両者の比率がほぼ同じになり、以後は金融業の比率のほうが製造業より高い状態になったのである。これは、アメリカ経済の脱工業化を示す象徴的な数字だ。

金融危機によって、08年においては金融業の付加価値が若干減少し、GDPにおけるウエイトも若干低下した。しかしすぐに回復して、09年には過去最高水準になっている。これは、アメリカ金融業の付加価値の増加が、金融バブルだけによるものではなかったことを示している。09年においては、GDP総額に対する金融業GDPの比率が18・1%であるのに対して、製造業は10%である。このように、金融業は製造業の1・8倍のGDPを生産しているのである。

ところで、前回見た雇用者数では、製造業雇用者は全雇用者の9・1%であり、金融の雇用者は5・9%である。つまり、金融業は、製造業の約6割の雇用者で、1・8倍の付加価値を生産しているわけだ。したがって、一人当たりで見れば、金融業の付加価値は、製造業の2・8倍ということになる。

このことは、直接的なデータでも知ることができる。金融サービスのうちの「証券・商品・保険」の一人当たり雇用者報酬は、製造業に比べて90年代末にすでに3倍程度になっていたが、07年には3・8倍にまでなった。

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