就活「後ろ倒し」では、学生は勉強しない

「システム」を理解しなければ、就活は語れない

特に人気企業のインターンシップには、参加希望者が殺到することが十分予想されます。学業をおろそかにしてインターンシップに参加する資格を取ることに血眼になる学生が現れることも、容易に予想されます。そのような事態になれば、「落ち着いて学業等に専念」するどころの騒ぎではなくなります。

このように今回の就活後ろ倒しは、本来の目的とは逆の効果を生み出しかねない危険性を秘めているのです。

時間ができても、学業に取り組むかは疑問

仮にアンダーグラウンドでの採用活動の影響がなかったとしても、就活の後ろ倒しによって学生が勉強するようになるかは疑問です。

実は、就活が後ろ倒しされたのは、今回が初めてではありません。2012年度採用の就活は、大学3年生の10月に始まっていました。それが、2013年度採用において、大学側からの要請を受ける形で、大学3年の12月に後ろ倒しされたのです。このとき、学生は2カ月の遅れを利用して、学業に真剣に取り組んだでしょうか? NPO法人DSSが2011年に、大学生1070人を対象に実施したアンケートを見てみましょう。

「就職活動の開始時期を遅らせることで、学業へ向き合う姿勢に真剣度が増すと思いますか?」という質問に対する学生の回答は、以下のとおりでした。

そう思う:5%
どちらかというとそう思う:10%
どちらともいえない:13%
どちらかというとそう思わない:22%
そう思わない:50%

 

全体の70%以上の学生が、「就活が後ろ倒しされても、学業へ向かう姿勢に変化はない」と回答しています。日本の大学生が勉強しないのには就職活動とは別の理由があるため、いくら「後ろ倒し」をしても、学生が勉強するようにはならないと言えそうです(ちなみに、日本の大学生が勉強しない本当の理由については、NPO法人DSS代表の辻太一朗さんが東洋経済オンラインに連載した記事がわかりやすいです。ご興味のある方は、一読をお勧めします)。

適職を見つけることが困難になる

今回の就活後ろ倒しの目的として、「学修時間の確保」と並んで「適職へのマッチ度」の向上も挙げられていますが、こちらに関しても、効果のほどは疑わしいと言わざるをえません。

次ページ「適職へのマッチ度」は低下する
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