採用バブルで、悪夢の「役職停滞」再び? 「企業内人口ピラミッド」大崩れの予感

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ある教育関連企業が人材採用に必要なコストを調達するため、第三者割当増資を実施したと発表していたのですが、なんとその費用、3億円以上。集めた費用で求人広告への出稿や人材紹介会社に支払う手数料に使うとのこと。それくらい採用に必要な経費が膨らんできたことを象徴する出来事かもしれません。いくつかの人材紹介会社に取材してみると、

「紹介手数料を他社より多めに支払うから、優先して紹介をお願いしたい」

と、通常時にはありえない依頼もある様子。採用バブルという感じでしょうか。加えて、

《急募:業績拡大に伴い、即戦力となるメンバーを求めています》

と入社までの期間を急ぐ募集も急増。中には半年で5人以上の入社実績を作ってくれたら手数料を倍にします……という会社もあるようです。ただ、人材紹介会社も、紹介したくても候補者が枯渇しているようで、高い報酬を得ることは難しいようです。

さて、そんな採用意欲が沸騰した状態は、いつまで続くのか? 人材系各社は東京オリンピックまで続くと考えているようです。そうだとすると、採用コストはますます跳ね上がることになるでしょう。ただ、それでも会社側の採用熱は止まらず、大量採用をする傾向が続きそうです。

新卒採用の予定数は10%以上のアップ、中途採用の意欲も高い状態にあることが、各社のデータから読み取ることができます。では、大量採用が行われた後に何が起きるのか?今回は人材市場で起きている問題をテーマに、原因と対策について考えてみたいと思います。

中途社員が戦力になるまで3年?

まず企業の求人意欲と景気の動きは連動=相似している傾向があります。たとえば、日本の景気の目安である日銀短観の業況判断DI 。企業が直近で感じている景況感を表す指標です。この指標と求人倍率を見比べてみましょう。

短観の数値が上昇すれば、求人倍率が上昇し、逆に下がれば下落します。しかもズレなく上下します。まさに連動しているわけですが、この連動こそひとつめの問題。連動では遅すぎるのです。業況判断DIが上昇する前に採用数を増やさなければ、戦力として間に合わない可能性が大。

この理由を説明するため、製造業の設備投資を参考に考えてみましょう。本来の設備投資は「需要」を予測して行うもの。そして、需要が高まる時期には設備(たとえば、工場)は完成していて、いつでも稼働できる、万全の状態にしておくべきです。設備の完成までには時間がかかるからです。

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