ただ、その後は採用数が激減。すると組織が硬直化して、管理職のポストが増えない状態に。ついには入社10年目で管理職になれない社員が大半という状態が起きました。
リクルート社のように「若くして仕事を任せる」ことをうたっている組織としては、閉塞感が漂う不健全な状態に陥ってしまうことに。当方は幸運にも若くして管理職になれましたが、わずか数年の入社年次が違うだけで、管理職へ抜擢される時期も人数も大きく違うことは、モチベーションを下げる要因になるのは間違いありません。役職渋滞が要因で退職していった社員も、相当数いたと実感しています。
こう考えると、役職渋滞はできるだけ早く解消すべき問題。ただ、残念ながら役職渋滞が起きて、対策に苦慮している会社は少なくありません。こうした役職の渋滞の原因となる年代別人口ピラミッドの凸凹に関して、会社はどのように向き合えばいいのでしょうか?
日立の人事制度改定の衝撃
やはり、年齢的要素を人事において取り払う発想を、「本気で」持つ必要があります。でも、年齢的要素なんてものを使う会社=年功序列な人事制度を使う会社は、いまだにあるのでしょうか?
はい、現在でも年齢を重要な序列の基準に使う会社が、非常にたくさん存在しています。労務行政研究所の調査によると「年齢給」を設定している企業が4割近く残っていました。残っています…と書いたのは、1980年代に比べれば2割以上も減少した様子だから。ただ、それなりの比率で厳然と残っていたのです。そして、中途採用された人材も含めて《入社○○年組》と世代別に分類して、昇進昇格までの目安となる年限を定めていたりするもの。中には
《そんな古い年齢を重視する人事なんて残っているとは驚き》
と感じる人がいるかもしれませんが、残念ながら(?)かなり残っているのです。ゆえに、今更ながら、年齢を賃金や役職に連動させない人事制度改定が話題になっていますね。
その話題の主が、日本を代表する製造業である日立製作所。これまで給与全体の70%を年齢や勤続年数に応じて支給していた制度を廃止(まずは管理職から)、さらに、ポストに応じた報酬制度を導入。よって《同世代から管理職が何割まで出現するか》といった話がなくなります。当然ながら年代別のモデル賃金もなくなります。こうした制度をソニーやパナソニックも検討中とのこと。日本は横並び意識が高いので、同様の取り組みに追随する企業が増えるでしょう。そうなると年代別人口ピラミッドの凸凹状態は問題視する必要は、限りなくゼロになります。さらに
「そろそろ部長になる適齢期を迎えた、あいつに負けるわけにはいかない」
などと、同期同士で出世レースを意識するのはナンセンスだと思えるようになる可能性も。このように、採用意欲の高まりに便乗して、組織のあり方を大きく変える機会がやってきたのかもしれません。
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