多くの企業にとって、新卒採用は非常に重要な存在です。「会社の将来を支える貴重な人材」として戦略的、かつ投資の意識をもって採用活動をしてきた企業が大半と思います。入社までの採用コストに入社後の育成コストを加えて、その人材が戦力となるまでどれくらいかかるか? ちなみに当方がリクルート社に入社したときは
「3年間は勤務してくれて、やっと元が取れる」
と言われたもの。確かに入社1年目は集合研修が1カ月ほどありました(営業職の場合)。それから現場に配属されて、仕事を任されます。自分ひとりで営業して売り上げが上がるようになるまで3カ月。先輩並みの売り上げ目標を持てるようになるまでに約1年、という時間軸が必要であったと記憶しています。おそらく、これはそうとう早いスピードで戦力化している会社ではないでしょうか。
それでも、新卒採用にメリットはあるか?
ただ、そんなリクルート社でも本当の戦力になるには、やはり3年はかかるのです。だとすれば、ほかの会社ではそうとうな期間を要することになります。それでも新卒採用をする理由はどこにあるのか? 人事担当者ならば理解している話と思いますが、あらためて新卒採用にはどのようなメリットがあるのかをまとめてみます。
こうしたさまざまなメリットを感じて、会社は新卒採用を行っているはずです。さらに300人未満の企業の求人数は対前年増減率がプラスの44.5%。中⼩企業においても業績の回復基調が背景にあり、中小企業に対しての新卒採用を支援するサービスが登場しています。新卒採用代行・アウトソーシングや新卒コンサルティング、内定者フォローまで分業化された専門業者を活用して、少人数から「初めての」新卒採用をする会社も増えています。
採用後ろ倒しで、苦悩する中小企業が続出
ただ、中小企業にとって新卒採用は簡単ではありません。いくら外部の専門家やサービスに任せるにしても、社内に人事部として対応できる人材を確保しなければなりません。300人以下の会社で人事業務は総務部門が兼務しているのが実情。本格的に行うためには人事部の人材の中途採用も必要になってきます。
さらに悩ましいのが、採用スケジュールの変更。経団連が発表した2016年新卒の「採用選考に関する指針」は、会社の採用活動を大きく揺るがす内容でした。取材した製造業の人事部長は
「採用が短期決戦になって、大変なことになりそうですね」
と頭を抱えていました。では、どのような変更なのか?
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