簡単に説明すると、3年生の12月となっている就活解禁の時期を、3年生の3月まで繰り下げるというもの。 就活の時期が後ろ倒しになることで、選考スケジュール以外にも就職活動のさまざまな方面に影響を及ぼすことが予想されます。
たとえば、現在、夏休み期間中の実施が主流となっている短期インターンシップですが、就活解禁時期が後ろ倒しになることで、冬休みに短期インターンシップを行う企業が増加することも考えられます。
経団連の指針に賛同している企業は大企業のごく一部。それでも、ネームバリューのある会社のスケジュール変更によって、学生の動き全体が変わるのは明らかです。
このスケジュールにのっとった就職活動をすれば、面接などの選考活動は4年生の8月と、現行より4カ月遅れます。ただ、どのようにスケジュールが変わっても、大企業であれば膨大な人事スタッフを駆使して対処すればいいこと。さらに、表面上の選考は後ろ倒しになっても、学生との接触自体は早期化する(前倒しを進める)ことを巧みに行うのは間違いありません。最近、古きOBリクルーター制度を復活させて、卒業生の大学で後輩に自社の魅力を語る姿が増えています。
一方で、経団連の指針に賛同していない企業はどうするか? 当然ながら従前と同じスケジュールで採用活動をするケースが大半です。
取材したあるネットベンチャー企業は、3年の秋から学生に接触。4年生に上がるまでに内定を出す予定とのこと。まさにダブルスタンダードで就職活動が進むことになるでしょう。
早すぎた内定のせいで、逃げられる?
このようなダブルスタンダート化で起きる問題もあります。中小企業で早期に内定を出しても、秋には大企業に有望な人材をさらわれて、徒労に終わるケースが増えること。同じような場面は、すでに中小企業のあちこちで起きています。筆者が取材した製造業では春先(2015年卒)に内定を出した学生がなんと、全員辞退するという事態に。
当初、人事部の人は、優秀な人材が確保できたと満足げでしたが、大企業の選考時期より「早すぎた」内定だったのが、裏目に出たようです。約10人の内定者から「すいませんが、辞退させてください」との連絡がくるようになり、たったの1カ月で内定者がゼロになってしまったのです。そのタイミングに人事部を訪ねたところ、担当者が自信喪失状態になっていました。
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