――そこは日本人の感覚と似ていて、仕事がやりやすそうです。
カイパースさん:オランダでは日本の企業はとても評価されていますよ。文化が違っても同じ価値観を持つところが多いので、うまくいきます。また5年、10年先を見越して働ける日本の企業は、就職先としても人気です。企業買収の話でもほかの国ではなく、ちゃんと企業を育てて行こうとする日本企業でよかったという声が多く上がります。買収額がほかの国の企業のほうが高くても、日本企業を選んだという例もあるのですよ。オランダはヨーロッパの中で日本の進出企業数が第3位。実際、6700人ぐらいの日本人がいます。
――オランダは住みやすそうですよね。それに花があふれていてとてもきれいです。
カイパースさん:オランダは日本人にとって、とても住みやすい国です。スーパーでもどこでも英語が通じます。オランダ語を話す人口は少ないので、ほかの言語の習得はとても重要なのです。日本のテレビでは日本語ばかりですが、オランダではテレビでも英語があふれていますし、小学校でも英語を習っていますので、英語は当たり前です。言語の問題はありません。
それに日本のスーパーがアムステルダムやロッテルダムにありますし、病院に日本語で対応してくれるジャパンデスクがあるところもあります。病気になったら英語も難しくて日本語で対応できたら楽ですよね。日本語の歯医者さんや美容院もあります。そしてオランダのお肉や野菜も、素材がいいのでおいしいですよ。
オランダの農業はハイテク!
――野菜と言えば、今オランダのICT(情報通信技術)を使った農業はとても進んでいて、たくさんの日本人が視察に行っていますね。
カイパースさん:はい。大臣などもたくさん訪れています。まず認識していただきたいのはオランダには農業省はなく、農業は経済省に入っています。農業は産業なのです。経済に大きな比重を占めています。GDPの10%が農業、国民の10%ぐらいが農業に携わっており、その数は70万人ぐらいいます。儲かる産業なのです。
日本との違いはオランダは1人当たりが持つ土地が広くて、平均26ヘクタールぐらいの土地を持っています。日本では1ヘクタールまでの人が多く、10ヘクタール持っている人はとても少ないです。と、いうことは収穫量が多く、専業農家として生活ができるということなのです。そして、26ヘクタールもあると設備を整えてICTでコントロールする必要があります。
――国の面積は日本より小さいけれど、生産量は多いですよね。
カイパースさん:オランダは気候に恵まれています。四季がありますが、夏はさほど暑くはなく、冬もそれほど寒くはありません。雨も1年を通して降ります。水の量が多く、また、山がなく、国土の多くが平野ですから、国の面積は小さくても農業に使える土地は広いのです。
――日本は山が70%で、平野は30%しかないですからね。
カイパースさん:そして産業として政府が後押ししていますから、農業に携わっている人が自分たちの仕事に責任を持って改善をしています。自営業として誇りを持って働き、新しい技術を取り入れながらうまく行くようにと、日々考えています。
大学と農業とのかかわりも密接で、生産量などを大学が研究してコンピュータで制御したりしています。サステナブルな農業を考えているのです。たとえばグラスハウス(温室)の中の温度や光を計ってコントロールし、年に6回収穫するようにすると、安定した生産量が見込めます。シーズンがなくなるのは残念なのですが、収穫量が多いのでビジネスとしては成り立ちます。
温室は、日本はビニールハウスが多いですが、オランダでは文字どおりガラスで、2枚のガラスの間に温かい空気を入れられるなど、しっかりとしています。オランダは以前、日本の石巻とオランダ風グラスハウスを作る計画を立てましたが、日本ではそれは地震に対応できず、法律として残念ながら認められませんでした。日本でもグラスハウスを作る技術はありますが、法律が異なるので、難しいですね。安全、安心なものを作れるのでとてもいいのですが……。今はエネルギーを下げるための策をたくさん作り出しています。
オランダとのビジネスに関しては大使館がサポートしていますので、ぜひ、いろいろと問い合わせてみてください。
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