――みんなで話し合いをしていると決定までに時間がかかりませんか?
カイパースさん:決定のやり方が違うのです。オランダ人は決定までがとても早いのです。中身をあまり考えず、まず「やる」か「やらないか」などを決め、その後に内容についてのディスカッションがあり、詳細に入っていきます。
内容などをきちんと検討してから決定する日本とは方法が違います。どちらが良い悪いではなく、文化の違いなのです。オランダは決定が早すぎることもあります。上司とはいつも話しやすい雰囲気があり、意見があればどんな新人であろうとすぐにボスのところに行って話すのが当たり前です。
オランダ人は、就業時間内は会社に忠誠心、責任観を持って仕事をします。ただ、契約で仕事の範囲をしっかりと決めることがあり、日本のようにボスが頼めばどんなことでもするというのは通用しません。自分の仕事の範囲を持って、そこはしっかりとするけれど、それ以外の仕事はしないのです。
「それは僕の仕事ではありません」と断られることもありますので、仕事の範囲を超えて頼まないほうがいいと思います。そこで日本の企業には、「ボスの言ったことは行う」という一文を契約の中に入れておくことをお勧めしています。
「華美なのはよくない」ので、仕事もGパン・Tシャツ
――とても機能的に仕事をするのですね。
カイパースさん:機能的と言えば、オランダ人はビジネスにおいても服装にこだわりません。オランダ語のことわざで「普通のままで十分」という意味の言葉があります。通常のビジネスではGパンとシャツで十分です。それにジャケットがあれば完璧です。スーツを着ているのは銀行員ぐらいですので、ジャケットも2~3着しか持っていないと思います。
これはカルバン主義のDNAがあるのかもしれません。あまり華美なのはよくないとされています。農民の国でしたので、あまりドレスアップする必要はありませんでした。きれいな服を着るのは日曜に教会に行くときぐらいで、それも週に1日ですので、たくさん持つ必要はありません。
日本とオランダでは「おしゃれ」の意味が違います。オランダにはブランドのお店も少ないです。オランダ人はケチでおカネを出したくないのです(笑)。
――Dutch account / Go Dutch(割り勘で)という英語表現もありますね。
カイパースさん:オランダは洪水もありますし、オランダに住んで生きていくのは大変だったのです。ジャケットも2着ぐらいで十分、そういうものにおカネを使うのはもったいないと思うのです。
でも貯金は多くて、日本人と同じぐらいかもしれません。おカネを使わず貯蓄をするということで、日本で言えば愛知県人のようですね。
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