水野和夫氏の内閣府審議官就任で、経済政策はどう変わる?
「彼は適任だが大丈夫か」(大手証券首脳)。そうした声の挙がる人事が今、政府内で進んでいる。
内閣府の経済財政分析を担当する大臣官房審議官に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフエコノミスト、水野和夫氏を起用する人事だ(就任は9月になる見通し)。
水野氏は組織上、荒井聰・国家戦略相の下に入るが、この人事は仙谷由人・官房長官が主導した。一部には菅直人首相の人事という見方があるが、それは違う。
水野氏と仙谷氏の付き合いは古い。十数年前、熊谷弘・元通産相の勉強会でお互い知り合い、以来、毎月のように会ってきた。仙谷氏の経済政策のブレーンが水野氏だ。
政府は今年6月、新成長戦略を策定。水野氏は就任後、菅政権が目指す、経済成長と財政再建の両立に向けた政策の立案などにかかわる。
水野氏はマクロ経済が専門のエコノミストとして知られる。歴史的な観点から行う経済分析には定評がある。「地銀の頭取など、『水野さんなら会いたい』といったファンが多い」(大手証券首脳)。
仙谷氏の経済ブレーンであり、民主党にも近いと見られれている水野氏だが、審議官として乗り越えるべき山がいくつかある。まずは成長戦略。
水野氏は常々、「右肩上がりの成長が止まった現在、成長がすべてを癒やすという考え方は捨てるべき」と語る。「近代の成長至上主義から卒業しない限り、次の段階には行けない」という考え方だ。