別姓制度導入は、当然すべての人が別姓にしなければいけないと主張しているのではなく、希望する人が選べるようにするだけです。法案の骨格は1996年にすでに出来上がっており、民主党政権を含む歴代の政権がそれを棚上げにしてきました。家族の一体感が崩れる、日本の伝統的家族観に反するという奇妙な反論があるのですが、中国文化圏や朝鮮半島はすべて別姓。これらの社会では「家族に一体感がない」のでしょうか? 夫婦同姓はそもそも明治時代に、西欧にならって導入した近代の産物で、日本の伝統ではありません。先進国で同姓しか選べないのは、今や日本くらいです。
配偶者控除は、配偶者の年収が103万円未満ならば、給与所得者の税金を安くするというもの。廃止論はもう30年以上主張されており、財務省をはじめとして官庁のレベルでは制度設計はすんでいます。民主党政権は2009年に政権を取るときのマニフェストに「配偶者控除を廃止して、子ども手当を創設」としていましたが、子ども手当は実現したのに、配偶者控除には手をつけられないまま退陣。結局、選挙民が怖くて実現できず、単なるバラマキに終わりました。
第3号被保険者制度は、給与所得者の配偶者で年収が130万円未満であれば、厚生年金の基礎年金部分の受給資格を、保険料を納めることなく得ることができるというもの。よく夫の保険料に上乗せされていると誤解している人がいるのですが、夫の保険料は変わらないので、共働き世帯が主婦の年金の掛け金を払っていることになります。
おそらく、3つの政策は実現しない
この3つの政策変更はいずれも、女性が個人として活躍できるようにするために、日本が抱える最も重要な政策課題です。これらを実現させるのなら、安倍政権の「女性の活躍」は「ホンキ」だと評価をしてもよいでしょう。しかし現在の流れを見るかぎり、まずそれは起きないと思われます。
そもそも自民党は配偶者控除の維持を公約にして参院選を戦っており、過去の言動から見ても、この3つの制度改革に、先に述べた3人の女性閣僚が賛成するとはとうてい考えられません。
そんな人たちを入閣させて、「女性大臣を増やした」などと言われても、ため息しか出ません。それでもみなさんは、これで女性が活躍する社会ができると思われますか?
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